
長編
真夜中の訪問者
匿名 2日前
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「……っ……」
携帯を握りしめた手をゆっくりと下ろすと、目の前の映像を見つめる私は涙を流した。
『……澪! ねぇ、聞いてる!?』
握りしめた携帯からそんな里美の声が漏れ聞こえるが、私は流れる映像から視線を逸らす事ができなかった。
「っ……、ありがとう……お父さん」
テレビ画面に映し出されている父に向けて、私は小さな声を溢しながら号泣した。
あまりの恐怖から、『殺す』と聞きとってしまったあの声。
テレビ画面から聞こえてくるその声に、私はあの時の言葉をよくよく思い返してみた。
あれは——決して、『殺す』なんて言ってはいなかったのだ。
『ここから逃げろ、いますぐ』
あの時聞いた声は、確かに父の声だった。
—完—
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- 最初はゾクゾクして、どんなオチかな~と思いながら読んでましたけど、まさかの感動でしたね!(^^)直球