
長編
四角い部屋
匿名 1時間前
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れで貸しを作ったりする。派閥の親は、派閥管理のためにも使う。
季節的理由で避けられない人員変動や、予見できない急な用事の時が重なった時に役に立つ。
「じゃあ何で今日俺がガクトさんと一緒にいたのか、説明できるか?」
「それはお前……」
何でだ? そういえば何でユウキはガクトさん派になったんだ? 揉め事起こしたわけでも、拾われたわけでもない。
俺は良い。各派閥に影響力のある強力なコネを持っているから基本的に派閥間移動はフリーだ。ちょっかい出してくるヤツは表立ってはいない。今日のような催しも招待される。
しかし、ガクトさんの派閥に入って日が浅いはずのコネもないユウキが、何故プライベートに近いこんなイベントに参加できるのか。確か、確か、確か。
「答えられないのか? 教えてやるよ。それが四角い部屋の謎だ。俺はガクト派になった覚えはねえ。入店してからずっとシュンさん派だ。だけど、今の俺は何故かガクト派だ。説明できる理由がねえ。それを誰も不思議に思わねえ。矛盾だらけなんだよ。シュンさんが四角い部屋に向かってから。だから俺も行く。行って四角い部屋の謎を解く」
「おい、聞いてるか? リョウ? 今八階だ。もうすぐシュンさんを助けられる。よっと、これであと一階」
「待て、言ってる意味が分からない。取り合えず戻れ、もっとちゃんと説明してくれないと分からない。シュンって誰だ? 何でその人が四角い部屋に行くことになったんだ? 何でシュンって人が四角い部屋に行ったこと知ってるんだ?」
「もうちょっと待ってろ、もう着く。よし」
「おい!? 止めろ!!」
「……くそ、完全ってこういうことかよ。確かにカンゼ――」
「おい!? 返事しろ! 冗談にしてはタチがわりぃぞ!!!」
ユウキの電話が切れた。いや、切れていない。
電話を掛けてすらいない。音がなくなっただけだ。
通信が切れた後の音や、通話時間を示すものもない。ただの待ち受け画面になっている。
リダイヤルのページを開いても、僕が最後に電話を掛けたのはガクトさんになっている。
掛かってきたのもガクトさん。
電話帳にもメール受信・送信欄にもユウキの名前はなかった。
何だこれは。
マンションに到着する。急いでボタンを押す。
チンと音を立てドアが開くと、中の蛍光灯が、点いた。
エレベーターには誰も乗っていなかった。
prr
ガクトさんだ。
「はい」
「おう、ついでに箱ティッシュとペリエ買ってきてよ」
「
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- 男でも女でもないお客様候補の化け物がいるマンションの方が怖い。ポロロッカ
- 面白いです。うんこりん