
終電を逃した私は、冬の深夜に公園を通り抜けることにした。冷たく澄んだ空気の中、静まり返った公園は、どこか不気味だった。
ふと前方に目をやると、手押し車を引きずりながら歩く中年の女性がいた。彼女は白髪交じりの髪を後ろで束ね、厚手のコートを着込んでいる。手押し車の中には、何か重そうな布がかけられているのが見えた。
女性はゆっくりとしたペースで進んでいて、時折立ち止まり、周囲を見回している。私の心の中に恐怖がよぎる。
「こんな時間に、誰かがいるなんて…」
だが、彼女に近づくにつれ、何か違和感を覚えた。彼女は一人ではなく、誰かが傍にいるような気配がしたのだ。振り返ると、暗がりの中から目を凝らして見守る影が見えた。それは彼女の母親だった。彼女の背後に立ち、顔を真っ白にしてじっと見つめている。
ふと目が合った瞬間、女性は私に向かってニヤリと笑った。私の恐怖は最高潮に達する。彼女は人差し指を立てて、静かに「シーっ…」と合図した。その瞬間、手押し車の中の布が揺れ、何かが動いた。
恐る恐る目を向けると、布の下からは…冷たい視線が私を見つめ返していた。あの日以来、彼女を何度も見かけているが、いつも一人で手押し車を引きずりながら、母の姿も見えないまま、恐ろしい目で私を追いかけてくるのだ。彼女は決して忘れられない存在になってしまった。あの夜の出来事が、私の心に深く刻まれている。いつかまた、彼女が現れるのではないかと思うと、夜道を歩くのが怖くて仕方がない。私の心の中に潜む恐怖は、決して消えることはないだろう。
このお話は実話です。私があの公園を通るたび、彼女の姿を思い出さずにはいられないのだから。
それ以来、夜の公園を避けるようになった。だが、時々、どこからともなく私を呼ぶ声が聞こえる気がして、心底恐ろしい思いをするのだ。彼女は、私の記憶の中で生き続けている。
そして、あの手押し車は、私に何を運んでいるのだろうか。
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