
長編
顔の一部を欲しがった女性
匿名 1ヶ月前
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この話は2年前の19歳の一人暮らしで起こった話になります。
当時は学校とバイトの両立で朝から深夜までバタバタしており、帰ったら即寝て朝早くに起きるという生活をしていました。
そんな生活を半年ほど続けており、その日もすぐに帰ってきて眠りにつきました。
その日は何故か何時もなら起きないであろう時間に目が覚めました。時計を見ようと体を動かそうとすると目以外が全く動かず無理やり動かそうにもピクリともしませんでした。
疲れすぎて体が動かないのかなと思っていると突然真上から女性が降ってきました。
突然の事に目を瞑った私でしたが恐怖を感じていつつもその女性に好奇心で目を開けて見ましたが直ぐに後悔しました。
その女性は私の顔から数ミリほどしか離れておらず冷たい息が顔にかかっているのがわかりました。とても綺麗な顔をしていましたが目はなせが所々傷があり血走った目でこちらを見ていました。目をまた瞑ってやり過ごそうとしたら瞼を抑えつけられたかのように動かなくなりました。その為私は女性を見続けることしか出来なくなりました。その女性はずっと私の目の部分を見ていましたが暫くするとその女性の顔に違和感を覚え始めました。その瞬間女性は一瞬顔を上げたその時にその違和感の正体に気付きました。瞼が無いのです。本来生き物であったら存在しているはずの瞼が雑に切られたかのようになくなっていたのです。そう気づいた時、もしかしたらこの人は私のまぶたを欲しがっているのかそう思っていると
今度は私の耳に顔を移動させじっくりと見始めました。まさかと思いその女性の耳に注目するとハサミで切られたような状態でなくなっていたのです。
直感的に間違いないこの女性は私の瞼と耳を欲しがっているのだ、そう思い始め恐怖から歯の震えと冷や汗が止まらなくなり始めました。
私は前回の投稿でも書いていましたが周りの大人には神職の家系の人が多く、我が家も神職の出になります。そんな環境ですから多少なりともその様な知識は入ってきます。
その中で私が覚えていたのは大抵の幽霊と極限の精神化の人間が欲しているものは奪われるのが相場というものです。
しかしそんな知識を持っていても恐怖が増すだけです。あぁ、私はどうなるのだろうか
恐怖で疲れきった思考でそう思い始めました。
するとその女性は顔を上げ私の顔全体を見始めました。顔の一部しか見られなかったため初めてその女性から全体を見られたと思います。
瞼がなくてもやはり綺麗な人だと場違いな感想を抱いて見ていましたが、その女性が私の顔を見た瞬間とても驚いた顔をした後とても懐かしそうな悲しそうな顔で私の顔をゆっくりと愛でるような名残惜しそうな手つきで撫で始めました。
幽霊でもそんな顔をするんだと思いながらも私はそんな顔をされるような覚えは無く戸惑いを覚えました。
「あなたはダメ」
そう言って私に抱きつくようにのしかかられた後その女性は消えていきました。
金縛りはとけ冷や汗で身体中がびっしょりしていたためシャワー浴びましたがその間も後も女性のあの顔と言葉の意味を考えていましたが心当たりもなく答えも出ないためモヤモヤしつつもその出来事からはいつも通りの日常を過ごしていました。それから2年後に祖母の家兼居酒屋で家族みんなで祖母の誕生日の米寿のお祝いをしていました。みんなお酒が入っていて昔話に花が咲きその流れで祖母のアルバムを見ようと言う話になりました。祖母の若い頃時代の写真はとても面白くみんなでワイワイと騒ぎながらみていて祖母の幼い頃の写真を私は見ていました。可愛いな、そう思いながらページをめっくているとある写真を見て凍りつきました。その写真はまだ年長さんになったばかりであろう祖母と祖母の母、その横にとても綺麗な女性が笑顔で写っている写真です。とても微笑ましい
普通ならそう思っていましたが、その女性はあの夜私の目の前に現れた女性の霊とそっくりでした。もちろん瞼と耳は存在していました。
しばらく固まっていた私が気になった祖母がどうしたのかと聞いてきた為、私はあの夜あった出来事を祖母に伝えていました。
その話を聞いた祖母はなせが神妙な顔をしつつも悲しそうな顔でその女性について語り始めました。曰くその女性は祖母の父の愛人だったそうです。祖母の父はお酒が入ると暴力をふるい酷い時は刃物を持って暴れていたそうです。女癖も酷く愛人は取っかえ引っ変えしながらいたそうです。祖母の母はそんな状況に感覚が麻痺していたのか愛人が家にいてももてなしていたそうです。そんな中、祖母は生まれてきたそうです。その女性は何故そんな男の愛人になったのか分からないくらい優しく朗らかな人だったそうで祖母はよく遊んでもらっていたそうです。女性は祖母の父からとても気にいられており特に顔をよく褒めていたと祖母の母から大きくなってから聞いたそうです。
しかしそんな日常も祖母が8歳の頃に終わりを告げたらしく、原因はお酒に酔った父が酷く乱心しその女性の瞼と耳を刃物などで切り落とし警察沙汰になりそれが原因で祖母の両親は離婚したそうです。
その女性は病院に運ばれ治療を受けたそうですが耳は半ば失明になったらしく耳は聴覚こそ失わ無かったものの酷い状態だったそうです。
そんな中祖母は何度かお見舞いに行ったそうですが精神をやんでいらしくまともに会話もできずに暫くして病院から抜け出し飛び降り自殺して亡くなったそうです。その話をしたあと祖母は押し入れの奥からある写真を取り出し私の前に差し出しました。周りにはいつの間にか家族も揃っておりみんなで見ましたが人間酷く驚くと声も出ないのだと感じました。
その理由としてはその写真は今でもモデルで活躍できるほど整った顔をした男の人が写っていましたが自分で言うのも巾かれますが私とそっくりだったのです。祖母曰くその写真の男性は祖母の父らしく私が生まれてきた時は酷く驚いたそうです。その写真を見せた後祖母は
「もしあんたの前現れた女性の霊がその人(写真の女性)やったらとしたらあの男にそっくりな顔のあんたの顔の一部は奪えんかったんやろうね
あんな目に遭わせられたのに、あの男をまだ愛しておるんやろうね。」
祖母の目からは涙で溢れており暫く泣いたあと
この女性が写っている写真をもう一枚現像した後お寺に供養しに行こうと言われ一緒に供養しに行きました。
その後何故その写真が祖母のアルバムにあったのか聞いてみると忘れない為だと言われました。その女性は天涯孤独だったけど
祖母の父にあっていなければ今でも生きていて幸せな人生を歩めていたかもしれない。
だからせめて私達は覚えておこう、そう考えた祖母と祖母の母は唯一写っていた写真をアルバムに貼っていたとのことです。
あの女性の霊は写真の女性は正直にいって同一人物がどうかは分かりませんが私も忘れないでおこうと祖母に伝え今その写真は祖母のお店に飾られていて私は時々お神酒を供えに行っています。
後日談:
- もし写真の女性があの霊だったら曽祖父に褒められた自分の顔を元通りに戻したくて探していたのかもしれないと供養してくれた人に言われました
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