
中編
時の止まった家
ソラン 2日前
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家族ぐるみの付き合いのある女性が居ました。
その方はとてもお洒落で、いわゆる資産家でした。
幼少期から、その方の家に家族で訪ねる仲でした。
悲しい事に、その方の旦那様とその方の長男も不幸な事故で亡くなってしまいました。
その方の口癖は
「遊びに来るときは、絶対に連絡をして下さいね。そうじゃないと、おもてなしができませんから」
私はその気持ちを理解出来たので、訪ねる前に必ず電話をしていました。
頑固な方で、平成の時代になっても黒電話を使い、エアコンは身体に悪いとの持論を持っていました。
でも、私がどうしても気になったのは、時を刻まない壊れた振り子時計でした。
夏にその方の家を訪ねると暑さに辟易としたものです。
いくら扇風機を回しても熱風が対流するだけですから。
熱中症の恐れもあるので、エアコンを入れたらどうですか?と何度か言いましたが、頑として受け入れてはくれませんでした。
でも私はその方が好きだったので、兄や母と一緒に遊びに行っていました。
ある時からです。その家に行くとゾッとする現象が起こり始めたのです。
その家は平屋でしたが、かなり広い日本家屋でした。
いつからか、家の中のトイレを使わせてもらえなくなりました。
「家のトイレは故障中なので、外のトイレに行ってください」
と笑顔で言われるようになったのです。
居間の奥の長い階段を通れば、トイレがあるのにです。
熱風を煽るだけの扇風機が回る居間。
奥にとても広い空間があるのに、窓やドアを締め切り、ニコニコと麦茶やお茶菓子、ときにはお寿司の出前を取ってくれました。
ある日、子供のような笑い声が聞こえたのです。
私はギョッとして、兄や母の様子を伺いました。
どうやら聞こえたのは私だけでなかったようです。
2人とも真っ青な顔をして、俯いていました。
その日の「お寿司食べて行ってくださいよ」はアイコンタクトで断りました。
皆んな一刻も早く帰りたかったのです。
その次に訪ねた時、奥の部屋にあるトイレが流れる音がしました。
故障中のはずの家のトイレが流れる音。皆んな冷や汗をかいていました。
おかしい。あの家はおかしい。皆んながそう思い始めました。
それでも懲りずに訪ねた時。
玄関の鍵がかかっていませんでした。その時は事前に電話をしていませんでした。
「鍵開いてますよ!いらっしゃいますか?」
私が声をかけた時、知らない男性の声で
「いる
後日談:
- 実話なので、一部改変している事をご了承ください。
この怖い話はどうでしたか?
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- いるよーん!笑 笑えるけれど、その状況だと凍りました _:(´ཀ`」 ∠): コメントありがとうございます!語り部
- いるよーん!でワロタ匿名かりでかお