
短編
おもちゃのピアノ
ゼロ 2日前
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もう10年以上昔のことです。
大学への進学で実家から遠い県に引っ越すことになった当時
私は小さいころから収集癖があり、大量の人形などのおもちゃやを持っていたのですが
一人暮らしのアパートはそんなに広くなく、収納も少なかったので、
持っていけるものは必要最低限に絞らないtといけませんでした。
倉庫を片付けていると、年齢がまだ一桁くらいの時に遊んでいたおもちゃのピアノが出てきました。
電池で動く小さなピアノで、毎日のように飽きることなくずっと遊んでいたので、
今でも赤いボディと小指よりも小さな鍵盤、カラフルなボタンや、デフォルトで入っている音楽さえを思い出せるくらいです。
さすがに今後活躍することもないですし、処分しなくちゃいけないな、と思ったのですが、
懐かしさがこみあげてきて、スイッチを入れてみたところ、電源のランプが灯りました。
当時と比べて(当たり前ですが)ずいぶん手も大きくなってしまって
とても弾きづらかったのですが、弾けるようになった曲を2~3曲弾いて、思い出に浸っていました。
片付けを進めないと、と裏返して、プラスドライバーで電池のカバーを開けました。
電池は一本も入っていませんでした。
最後の挨拶かなにかだったのでしょうか。今でもあのピアノのことをたまに思い出します。
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