
私が老人施設で働いていた頃の話です。
当時、私は生活相談員として入居に関わる業務を担当していました。ある日、ご夫婦が入居されることになりました。彼らは非常に仲が良く、子どもたちも協力的でした。子どもたちは本当は一緒に住みたがっていましたが、ご夫婦は最後まで二人で過ごすことを望んでいました。
旦那様が先に入居し、奥様は入院中でしたが、2週間後に退院する予定でした。しかし、退院が近づくある晩、私は自宅で眠っていると、誰かの視線を感じました。目を開けると、そこにはご入居予定の奥様が立っていました。私は驚くことなく、どうしたのかを尋ねました。「ご挨拶に来ました。主人と一緒に過ごすのが楽しみでしたが、叶いそうもありません。あなたにはお世話になりましたが、申し訳ありません。できることなら、主人より長く生きて見送りたかったのですが、あなたにお任せします。主人が不便に思ったり、私がいない寂しさを感じたときには、必ずお迎えに参りますので、その時までどうぞお願いします。」と言い消えました。
翌日、出勤後に旦那様をお見舞いに連れて行きました。そこで、意識のはっきりした奥様と再会し、二人は手を取り合っていました。旦那様がトイレに行った際、奥様は私に「昨日は失礼しました。再び会えて嬉しいです。」と告げました。
その後、施設に戻ると、奥様が昏睡状態になったという連絡がありました。旦那様は急いで病院に戻り、子どもたちと共に奥様を見送ったのです。
葬儀が終わり、旦那様が施設に戻って1ヶ月が経った頃、彼は他の職員にマッサージサービスを依頼したが、なかなか呼んでもらえずに不満を募らせていました。突然、彼は「生きているうちに妻に会いたい」と言い出しました。
その晩、私の枕元に夫婦が現れました。奥様は「やはり、主人は一人ではダメでした。お迎えに来ました。あなたは旦那さんより先に旅立ってはいけません。先に旅立つ方は幸福に包まれますが、残された方は後悔の日々を過ごすのです。」と伝え、旦那様は「最後の挨拶に来たよ。」と言って、二人で手を取り合い消えました。
その瞬間、私の携帯が鳴り、旦那様が亡くなったとの連絡がありました。葬儀の準備をしながら、子どもたちから遺品整理の依頼を受け、作業をしていると、その中に一通の手紙を見つけました。内容は「現在の彼と2年後に結婚するつもりだから、互いに思い合う気持ちを大切にしてほしい」というものでした。
後日談:
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