
Yは知人のBさんと廃工場の探索に出かけた。錆びた鉄骨や破れた壁が、長い間放置されたことを物語っている。ここはかつて稼働していた工場で、今や廃墟と化している。普段は静まり返っている場所だが、秋の夕暮れ時、風が工場の中を吹き抜けるたび、何かが囁いているような、不気味な音が響いた。
BさんはYの数少ない友人であり、時折こうして一緒に心霊スポット巡りを楽しんでいた。年齢はYよりもかなり上だが、Bさんは常にフランクで、Yにとっては頼れる存在だった。
「ここには昔、冷凍庫があったらしいよ。」Bさんが言った。
「冷凍庫?」Yはその言葉に興味を持った。冷凍庫とは、あの冷たい空間で何が行われていたのだろうか。
Bさんは続けた。「聞くところによると、ここで何人かの失踪者が見つかったんだ。でも、それ以上のことは誰も知らない。」
Yは薄暗い工場の奥へと進むと、冷凍庫の扉がかろうじて残されているのを見つけた。扉は重たく、開けると、冷たい空気がYの顔を撫でた。
その瞬間、Yは何かが違和感を覚えた。冷凍庫の中には、古い氷の塊があり、何かがその中に封じ込められているように感じた。
「何かあるのか?」Yは不安を抱えつつBさんに尋ねた。
Bさんは冷凍庫の中を覗き込み、目を見開いた。「これ、何かの肉だ。人間の…?」
その瞬間、Yは背筋が凍る思いをした。冷凍庫の奥に、見覚えのある服が見えたからだ。それは、数年前に行方不明になった友人のものだった。
「やっぱり、ここで何かが起こっていたんだ…。」Yは恐怖に震えた。
すると、Bさんが急に冷凍庫の扉を閉め始めた。「まて、Bさん!」Yは叫んだが、間に合わなかった。扉が閉じられた瞬間、Yは真っ暗な冷気の中に閉じ込められた。
「お前もここに残ることになる。」Bさんの声が冷たく響く。Yはすぐに逃げ出そうとしたが、冷凍庫の壁が凍りついて動かない。
その時、Yは冷凍庫の中で、過去の声が聞こえた。「助けて…」それは、彼の友人の声だった。
Yは最後の力を振り絞って、冷凍庫の扉を叩き続けた。だが、外の世界からは誰も助けに来ない。 Yは絶望の中で、自らが冷凍されていくのを感じた。
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