断した。 網を使って、引き上げる。 体は傷だらけで、髪の毛もほとんどなかった。 でも、この顔はおばあさんだ。 おじいさんは泣いた。理由は2つあった。 一つは、おばあさんと再開できた喜び。 もう1つは、おばあさんの顔が、驚いたような怖がるような、そんな顔をしていたから。 目が大きく見開かれていて、その目はおじいさんを見ているような見ていないような。 もしも溺死や自殺なら、目は閉じているのではないか。 おじいさんは、体中の臓器が冷めるような、不思議で、恐ろしい感覚に襲われた。 靴が家にあったのは、死んだのが家の中だったから。 目が開いているのと、海にいたのは、他殺だから。 もう、どうすればいいかわからなかった。