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長編

暗い場所に建つ家

えい 2019年9月28日
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そこは、霊感が多少ある人なら、何と無く道を通るのでさえ嫌だと感じるそんな場所でした。 表通りから、300mくらい入った山の麓に程近いその道には、数軒の家が建っていました。 その更に奥…山へと続くTの字が少し崩れた様にカーブした道の一画に一軒の家が垣根に囲われる様に建つ場所がありました。 そこだけが異様に暗い。 道を挟んだ先には、道祖神の様な石仏がありましたが、そこはかろうじて、光が届く場所。 地元の人でさえ避けて通る場所で、その家の先にある民家に住む人達は、態々遠廻りをしている様でした。 T字路の手前には、大きな楠木が立っていましたが、木陰とは違う暗さ、暗いというより、闇に近い暗さがありました。 その道のカーブに建つ家は数十年放置されていたらしいのですが、ある時、家の持ち主の遠い親戚に当たる一家族がその家に越して来たそうです。 60歳過ぎの夫婦( N )と40代の息子さん一人と愛犬の一匹。 ただ、放置されていたので、ある程度内装に傷みがあり、近所に何でも屋的な方が住まわれていた様でその方にちょっとした床の張り替えを頼んだそうです。 最初は断られた様でしたが、何度も交渉に訪れていた様で最後は、何でも屋さんの方が折れて引き受けてくれたのだそうです。 その何でも屋さん( A )が、その家に数人の従業員を連れて仕事にやって来た時、一人の従業員( B)が、突然、頭痛に襲われて一度、店に戻る事になりその家を後にして一人付き添いの従業員と共に店に戻ると、頭痛は直ぐに治まったのだそうで、再び、付き添いの従業員と共にあの家に戻ろうと、家の近くまで歩くと、激しい頭痛に襲われ結局、Bさんはその家で仕事をする事が出来ませんてした。 床板を剥がし新しい板を張り替えるだけの簡単な仕事にも関わらず、従業員のCとDは、初歩的なミスを繰り返し、Cは、電気カッターで指を切断する怪我をして暫く入院する事になり、Dは、体調不良を理由に仕事が出来なくなりました。 残されたAさんは、一人で残りの作業を行ない予定された日数を少しオーバーして仕事を終わらせた。 少し作業は遅れたものの床板は綺麗に張り替えられて、Nさん一家が荷物を運び入れ、無事引っ越しを終え、住み初めて半年が過ぎた頃、Nさんの奥さんが突然倒れ、救急車で病院に搬送されたのをきっかけに、奥さんは数ヶ月の間を開けず何度と無く救急車で病院に搬送されていたそうです。 その間にも息子さんが理由が分からないのですが…仕事を解雇され、日中はほぼ毎日の様にパチンコ屋に入り浸る様になり、Nさん自身も目の病気に掛かり、一家は一年と数ヶ月で、今までの生活が一変したそうです。 その事を知人を通して、Nさん一家と交流があったSさんという女性から相談を受けました。 Sさんの案内で家の外観だけを視察に行き驚きました。良く晴れた日だったにも関わらず、その一画だけが、真っ黒い霧がかかった様に暗いのです。そう…普通の何かの影というよりも闇に近い暗さ…。その道のカーブに当たる場所にその家はありました。 家に近付くにつれ、首から上が圧迫された様に苦しくなり、頭痛が起きました。 助手の子も何処か異変を感じているらしく、具合が悪そうだったので、太陽の光が当たる場所で休むように言いました。 Sさんは何も感じていない様子で、家の敷地に入って行きました。 私もそれに続き敷地に1歩足を踏み入れた瞬間頭に浮かんだ、お爺さんと少し若い多分、娘さんの姿が視えました。 それで、じゅうぶんでした。 Sさんに帰りましょうと声を掛け敷地を出て、助手の待つ所まで出ると、頭痛が嘘の様に治りました。Sさんと近くの喫茶店に入り、詳細を伝えました。 まずあの家で、お2人の方が亡くなっていた事。お爺さんは病気で、娘さんは自殺していた事。 Nさん達は、その事を知っていて引っ越した事。 それを話終えた後、Nさんの奥さんの病気は完治する事は難しいのかも知れないけれど、あの家は出た方が良いと告げその場を後にしました。 あの家で亡くなっていたお爺さんは、病名は分かりませんでしたが、玄関から入って右側の正面の部屋に布団に横になったまま亡くなっていました。 それを発見したのは仕事から帰った娘さん。 家族、親戚間の事は分かりませんが、何か事情があり娘さんはお爺さんを病院に入院させられなかったらしい話をご近所の方から聞きました。 仕事から帰った娘さんは、慌てて救急車を呼んだそうですが、救急隊の方が死亡を確認したそうです。一応、病院に運び死因を調べ、その後の処置を終えるまでの間に、娘さんが各親類に連絡を入れて、葬儀の準備に追われていたそうです。 娘さん自身の気持ちの整理がつかないまま、親類達に陰口を叩かれ、娘さんは徐々に精神を病んで行き、ある日、家の玄関から真正面に当たる鴨居に紐を掛けその生涯を綴じたそうです。 その娘さんなのでしょう。 私が帰り際視線を感じて振り向いた窓に、首に紐を付けたまま、此方を凄い形相で睨みつけていました。 その後、Sさんが何度もNさん宅に赴き、説得を重ねた数年後、Nさん達は、その家からかなり離れた場所に引っ越したそうです。 引っ越しをするまでの間、何度と無く奥さんは救急搬送を繰り返したそうです。 ただ…引っ越した先の家に住み始めた頃から現在に至るまで、救急搬送される事は、1度も無いそうですが…病気の進行を止める事は出来ず、余命宣告されたそうです。 息子さんは引っ越した後、直ぐに仕事先を見付け、今では以前の様に働きに出ているそうです。 Nさん自身の目の病も何とか手術をして、順調に回復に向かってるという事でした。 Nさん一家が引っ越した後、今もその家は取り壊される事無く、あの暗い道のカーブに建っています。 お爺さんの方は消え掛かり成仏もまもなくという所でしょうが…娘さんの方は薄れる事無く、あの親類に責め立てられた時の感情のまま、何度も繰り返し、首を吊っています。 あの家のあの場所で…。

後日談:

  • 去年、この家を借りた70代のご夫婦がいました。 明るくて良く近所の方々と会話していたそうです。それが、半年を過ぎた辺りから様子がおかしくなった様です。あれ程、ご近所の方々とお喋りしていたのに、挨拶もろくにせず、人目を避ける様な生活をする様になっていったと…。 それから数ヶ月後…旦那さんはお風呂場で湯ぶねに入ったまま、こと切れていて、奥さんは布団の中で亡くなっていたそうです。二人とも病死だったそうですが、ご近所の方はそうは思っていないと言っていたそうです。あの家には、人が住めません。住めば、いずれ……。

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