
中編
知らない方が良いこともある
匿名 6日前
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と笑顔を見せる
「…え?…何が?」
状況が理解出来ない俺に父が、
「そのアイツとやらの名前を言えるか?」
「………」
俺は答えられなかった。それどころか、さっきまで一緒だったのに顔すら思い出せない
父が続ける。
「アレはな…この土地に昔からいる神様みたいなもんだ。
俺がさっき見た時は子供の容貌だった。必死に平然を装おうとしたが、不自然だったな…
で、基本的には危害は無いのだが、お前みたいに外から村に入ってきた者にとり憑く」
更に話を続ける。
「奴が危害を加える条件が二つあってな。
一つは、憑かれた者が憑かれている事に気付くこと。もう一つは、村の外へ出ること」
詳しくは分からないが、この村がある地形自体が結界になっているらしい。
そのどちらかをしてしまうと、神様とやらがいる向こうの世界に連れて行かれ、半永久的に遊び相手をやらされるらしい。
親父は俺が憑かれてると判断し、広場へと送り出した。
そしてそのすぐ後に神主さんに電話をし、引き剥がしの儀式をお願いしたそうだ。
「あいつ(神主)の家系は代々あの場所で、お前みたいに憑かれた者を助けてきた。あいつはかなりの怖がり屋なんだがな」
「だから目を瞑ってたのか」
「奴は祭りや賑やかなのが好きなんだ。だから太鼓や笛の音を流し誘き寄せる」
「あの奇妙な仮面の人達も、急いで準備してもらったの?」
「仮面の人達?あそこにはあいつ一人しかいなかったはずだが…」
あそこで起こった事を説明すると、
「恐らくその仮面達は、遊びに出た神様を連れ戻しに来たんだろう。
どちらにしても、知らない方が良いこともある。あいつには内緒にしておこう。聞いたら発狂するだろう…ははは」
翌日。
俺は帰路に着いた。
村の入口の昨日『友人』が居た場所には、小さな地蔵があった。
心なしか悪戯な笑顔をしたように見えた。
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- 超迷惑だけど悪い奴ではないんだろうな!名無し
- 面白かった!ケビーニョ
- 面白かったです!あ
- 面白い話で興味深いな。