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長編
幽冥な花嫁
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幽冥な花嫁

2025年12月4日
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秋という季節がなくなったのかというほど暖かな日差しの差す、土日にくっついた至福の祝日。

看護の学びから解放された私は、昼下がりの倦怠に身を委ね、ベッドの上でだらだらと過ごしていた。

13時過ぎ、少し重たいカレーを胃に収め、歯磨きを終えると、再び至福の寝床へ。

​スマートフォンを眺めるうち、まぶたが重くなり、抗いがたい眠気が全身を包み込む。意識は深い水底へと沈んでいった。

​夢を見ていた。

その内容は輪郭が朧げだが、確かな違和感を残している。ひんやりとした麻の感触、輪になって揺れる影。

__そう、首吊り用の紐のようなものが、暗闇の中で眼前にぶら下がっていたような気がする。

​ふと、意識が浮上する。まどろみと現実の狭間、重力から解き放たれたかのように、意識だけが宙を漂っている、最も無防備な瞬間。

​グッ、と​喉元に何かが鋭く食い込む感覚。温度の感じない、それでも締められると理解するほどの圧迫。一瞬で空気が遮断され、肺が酸素を求めて痙攣する。

同時に、耳の奥でキーンという、高周波の金属音が響き渡り、全身が鉛のように重く、動かなくなった。

​___金縛り。

​「またか」と、経験者特有の諦念が湧く。

しかし、今回は違う。首を絞められる、という未体験の恐怖が、冷静さを奪った。

どうにかしてこの金縛りを解こうと、全身の筋肉を内側から引き裂く勢いで藻掻くが、指一本も動かせない。

​私は右向きに寝ていた。その石のように硬直した体の、左側。

​動かないはずの左腕が、勝手に動いている。

​否、動かされている。

強い力でグイグイと、肘から先を無理やり引っ張られているような、不自然な、奇妙な筋肉の軋みを感じた。

​金縛り中、身体は動かせずとも、眼球だけは自由だ。私は重たい瞼をこじ開け、左腕があるであろう空間を凝視した。

​そこに、私の腕はなかった。

​あったのは、ちょうど人の手のひらほどの大きさの、黒いモヤ。

空間の歪みのような、闇の破片のような、輪郭の曖昧な黒い塊。それは、私の左腕を掴み、どこかへと誘うように、微かに揺らめいていた。

​モヤを見たその瞬間、頭の中に鮮明なイメージがフラッシュバックする。黒髪が長く、顔は見えないが、妙に華やかな、紅い服をまとった女の姿。知人ではない。見たこともない、幽世の女性。

​全身の血液が沸騰するような焦燥に駆られ、今度こそ金縛りを解こうと必死になった。

​しかし、抵抗すればするほど、首の締め付けは強くなる。

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はじめまして、よろしくお願いします。

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