
美咲が亡くなったと聞いたのは、冬の寒さが一層厳しくなった夜のことだった。彼女とは小学校からの親友で、頻繁に遊びに行ったり、家に泊まったりした仲だった。あの頃は楽しかったが、時の流れには勝てず、会う機会も次第に減っていた。
何年か前に成人式で再会した時、彼女は元気そのものだったのに、まさかこんな形で別れが来るとは思ってもみなかった。
通夜のため公民館に向かうと、外はひどい吹雪だった。到着すると、同級生たちの姿はほとんど見当たらない。美咲の母親が俺を見つけると、涙を流しながら「美咲に最後の挨拶をしに来てくれてありがとう」と言った。その言葉に胸が締め付けられた。
棺の前に案内され、そっと中を覗くと、驚くことに美咲の姿はどこにもなかった。ただ、彼女の幼い頃のアルバムが一冊、棺の中に置かれていた。戸惑う俺に、美咲の母親が「美咲に会いたいでしょう」と言いながら、無言でアルバムを手渡してきた。
その手には異常な力が宿っていて、俺は思わず叫んだ。「やめてください!」その瞬間、目が覚めた。全身が冷や汗で濡れていた。
慌ててスマホを手に取ると、母からのLINEが届いていた。「美咲のお母さんが昨夜亡くなったそうよ。あなたが小学生の頃、よくお世話になったわね。今夜の通夜には行くから。」
そのメッセージを読むと、背筋が凍る思いがした。美咲はもう10年前に亡くなったのだ。今、目の前にいるのは、彼女の母親だけだった。俺は、運命の不条理に打ちひしがれていた。過去と現在が交錯する中、何が現実で何が夢なのか、分からなくなっていた。全てが終わってしまったのだと、心の奥で呟いていた。彼女の最後の姿を見届けることはできないままで。
そして、再び目を閉じた時、古いアルバムのページが一枚一枚めくれる音が、ふと耳に残った。どこかから聞こえてくるその音に、俺は逃れようのない恐怖を感じていた。美咲は本当に安らかに眠っているのだろうか。胸の奥に不安が渦巻いていた。
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