
長編
美容室
匿名 2016年11月6日
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実際に体験した話です。
誤字脱字ご容赦ください。
また特定防止のため名前や場所は
全て仮名とさせていただきます。
ご了承ください。
xxxxxxxxxxxxxxxxxx
私は中学生の時にどうしても
美容師になりたかった。
高校を卒業し専門学校に入学した。
専門卒業後、ある美容室に就職した。
就職して2週間が経ったころ、
私を指名してくれる人も増えて
仕事が楽しく感じた。
とある日曜日、いつもなら定休日だが
次の日が祝日だということと
店長の都合で出勤になった。
私と同い年の山中さんと一緒に
仕事をしていたのだが、案の定
お客さんがいつもより多く
2人では手が回らなかった。
そして閉店前にある女性が来た。
山中さんは閉店作業をしていた為
私が対応した。
黒髪ロングでスタイルもよく
綺麗な女性だった。
女性は髪の毛をショートばっさりと
切ってほしいという事と
シャンプーをお願いしますと言って
鏡の前の椅子に座った。
私「シャンプーは切ったあとと
切る前とどちらにしますか?」
女性「前でお願いします」
私「こちらへどうぞ」
シャンプーをするところまで案内し
早速シャンプーを始めた。
しかし、絡まっている箇所が多く
進まない。
残業だなと思いながらも手を動かした。
リンスをつけると少し指通りが
よくなり私はシャンプーを終え
カットに入った。
カット中は話しかけてもほぼ無視で
ほんのたまに、「はい」を言うだけ。
私はそんなお客さんもいると
言い聞かせ全て終了した。
お会計を終え、お店のスタンプカードを
作ってほしいと頼まれたので
名前と住所を書いてもらい
女性は帰って行った。
私は掃除と閉店作業を同時にした。
すると山中さんが私を呼んだ。
山「ねえ加藤さん、これって...」
私「どうしたんですか?」
そこにはシャンプーをしたところの
排水口に大量の髪の毛が詰まっていた。
私「ああ、さっきの女性なんですけど
結構絡んでたんでそれだと思います」
山「そうなんですね、了解です。
捨てときますね」
私「ありがとうございます」
それが間違いだと私も山中さんも
知る由がなかった。
その日は帰宅したのが夜の22時を
まわっていた。
ご飯を食べてすぐお風呂に入り
私はすぐに眠った。
だが、トイレに行きたくなり
夜中に目が覚めた。
トイレに戻って布団に入っても
しばらく寝れずテレビをつける。
面白いテレビがやってなかったので
前に山中さんから借りたDVDを見た。
明日は休みだしと明け方まで
ずっと見てたのだ。
しばらくすると眠気が襲ってきて
布団に入りすぐに寝た。
そして私はある夢を見た。
暗闇の中を山中さんと歩いている。
前は何も見えない。
それなのに山中さんは笑顔で
私に話しかけてくる。
すると誰かに髪の毛を引っ張られ
私は尻餅をついた。
え?なに?今のはなに?
頭の中は真っ白。
横では驚いた顔で大丈夫ですか?と
聞く山中さん。
後ろを見ると昨日来た女性がいた。
私「こ、こんにちは」
挨拶しても無視。
女性は昨日と違い鋭い目つきで
私を睨む。
怖くなり山中さんの手を取って
何も見えない暗闇をひたすら走った。
どのくらい走っただろうか。
山中さんも私も息が切れてる。
山「加藤さん!どうしたんですか?!」
私「昨日閉店前に女性きたじゃない?
その女性が私の後ろで睨んでて」
山「え?加藤さんの後ろですか?
だれもいませんでしたけど?」
私「え?」
後ろを振り向くとその女性は
いつの間にか私の後ろに立ち
何かを言っている。
だが、何も聞こえない。
声に出さずに何かを言っている。
掠れてるわけでもなく
こえにだしていないのだ。
私は何故か生きていないことが
わかった。
そこで目が覚めた。
変な夢だったなと思い起き上がる。
枕とパジャマは汗でびっしょり。
シャワーを浴びてご飯を食べてると
山中さんから電話が入った。
今すぐ近くのカフェに来てほしいと。
私はすぐに向かう。
カフェに着くと山中さんは真っ青な
顔をしてこう言った。
山「急に呼び出してすみません。
実は昨夜変な夢を見たんです」
その夢の話を聞いてると、
私と全く一緒の夢だとわかった。
私「山中さん、実は私も見ました。
全く同じ夢を」
山中さんは驚いた顔で私を見る。
山「加藤さん、明日出勤ですよね?」
私「そうです。山中さんと一緒ですね」
山中さんは、そうですよねと
作り笑いで私を見た。
その日は山中さんと一緒に
レストランで夕飯を食べたので
家に帰ってシャワーを浴び
また寝についた。
そしてまたあの夢を見た。
最初の夢と違ったことがある。
それは女性が私に言いたかったことだ。
最初に見た夢とは違い、
女性の声がはっきりと聞こえた。
「かえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせ」
最初は何を返してほしかったのか
全くわからないまま目が覚めた。
起きてテレビをつけると
朝のニュースがやっていた。
一昨日の夜中に
女性が飛び降り自殺をしたという
内容だった。
場所は、
私が働いている店から
かなり近いところだった。
驚きを隠せないまま
見続けると
女性の名前が出た。
その女性こそ
私がカットした女性だった。
自殺した理由、それこそが
夢に出てきた原因だった。
その女性には好きな人が居た。
その男性はショートがタイプと知り
私の店に来たのだ。
しかしその日に女性は男性が
バイトしている店へ
見に行ったらしい。
まあ見せに行ったと言っても
おかしくはないだろう。
しかし、
その男性は女性をみて
「気持ち悪っあんなショートの人は
苦手だな」
と隣のレジの人に言ったのだ。
それも女性に聞こえるように。
女性はそれを聞いて
かなり傷つき、
ショックを隠しきれなかった。
もう、こんな人生は嫌だ
こんなことになったのも
あそこの美容室の店員のせい
となり、私を殺そうともしたらしい。
実際女性の携帯のメモに
私の名前と店の名前、
そして
死ねの文字。
それだけを残し
女性はこの世を去った。
そのニュースをみて
私は申し訳ない気持ちと同時に
自分の未熟さに憤りを覚え、
美容師という職業から
身を引いた。
今は普通の会社員として
働いているが
二度と美容師にはならないし
なりたいとも思わない。
そして
山中さんはあの日から
行方不明だ。
そんな今でも
あの女性は私のことを
恨んでいるし
何があっても許さないだろう。
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