
ウェブライターの私は、怪談を集めるあるサイトで、身の毛もよだつような話を受け取った。その中には、ある男が「これを投稿してもいいでしょうか?」と送ってきた、「自らの手で人を殺した者が、その亡霊に悩まされる」という衝撃的な内容があった。 その話は、どこかで聞いたような話ではあったが、彼の語りは生々しく、私は興味を惹かれた。
投稿者である彼、Tは40代半ばの男性で、実際にその事件を経験した本人であった。彼は、かつて店主を殺害し、その遺体を処理した男だったのだ。
事件は約15年前、北関東の工業都市で起こった。Tは大学生で、夜はバーテンダーとして働いていた。ある晩、酒に酔った勢いで店主を包丁で刺し、すぐにその遺体を近くの川に捨てることを決意した。
彼は、逃げるために金を盗み、逃避行が始まった。ところが、逃げる途中で精神的に追いつめられ、店主の霊に悩まされるようになり、最終的には警察に自首することになる。
この話を聞いた私は、彼の言葉が本当なのか確認するために、当時の事件を調べることにした。インターネットを探るも、何も見つからない。
しかし、当時の新聞を調べると、確かに彼の話の通りの事件が起こっていたことが分かった。
この手記は、Tが私に送ったものであり、彼の言葉で語られている。彼が記した内容を通じて、私たちは彼の心の闇に触れることになる。
もちろん、彼のプライバシーを守るため、私が手を加えた部分もあることをご理解いただきたい。
* * *
それは約15年前の秋の夜、サッカーのワールドカップが盛り上がっていた2006年のことである。私は大学2年生で、北関東の小さな工業都市に住んでいた。 そこは、工場が点在する以外は何もない、静かな町だった。
私は大学の授業をほとんどサボり、バーテンダーのアルバイトに明け暮れていた。そのバイト先は、とても繁盛しているとは言えない小さなバーで、常連客は地元の厳ついオヤジたちばかりだった。
その夜、店内はいつも通り賑やかで、酒に酔った客たちがカラオケで盛り上がっていた。私は、そんな場から逃げ出したくなるような気持ちで、店長を見つめていた。
彼は、私が心底嫌っていた男だった。私が大学に通っていることをバカにし、いつも「金が全てだ」と説教してくる。正直、彼に対する憎しみは募る一方だった。
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