
今から約十年前、大学生の時に友達と一緒に廃病院で肝試しをすることになった。その病院は、昔は賑わっていたが、今では廃墟と化していて、地元では心霊スポットとして知られていた。
その日は秋の深夜、月明かりが薄暗い廊下を照らしていた。私たちは、肝試しのために集まった大学の友人たちの中で、特に勇気のある数人が選ばれた。病院には誰もいないことを確認するため、私たちは一緒に中に入った。
「こんなところ、怖いね」と一人の女子が言った。
「大丈夫、何も起こらないって」と別の男子が笑いながら答える。私たちは懐中電灯を持って、薄暗い廊下を進んでいった。廊下の壁には剥がれたペンキがちらほら見え、天井からは古びた配管が露出していた。
途中、私たちは病室の一つに入ることにした。そこには、かつての医療器具やベッドが無造作に置かれており、まるで時が止まったかのようだった。私たちはその異様な雰囲気に興奮し、声を抑えながら笑い合った。
次に、私たちは「この病院の怪談を知ってる?」と話題が移った。特に有名なのは、夜中に病室の窓辺に立つ患者の霊だと言われていた。彼女は、廃院後に行方不明になった患者の一人で、今でもその場所に現れるというのだ。
「本当にいるのかな?」と一人の男子が言った。
「見てみたいね」と私は冗談交じりに言ったが、内心は少し怖かった。私たちはそのまま奥の部屋へ進むことにした。
その時、突然、女性の悲鳴が響き渡った。「ああっ!」と叫び声が耳に響く。驚いて振り返ると、先に進んでいた女子が恐怖で顔を青ざめていた。「何があったの?」と私が尋ねると、彼女は震えながら言った。「見たの、逆さに吊るされた女が…」
その言葉に全員が凍りついた。私たちは慌ててその場を離れようとしたが、混乱の中で一人の男子が足を滑らせて転んでしまった。
「逃げろ!」と叫びながら、他の仲間たちも一斉に出口に向かって走り出した。すると、また悲鳴が聞こえた。振り返ると、先ほどの女子が再び恐怖で叫んでいた。彼女の視線の先には、白い影がちらりと見えた。
廊下を走り抜け、無事に出口に辿り着いた私たちは、外で息を整えた。皆の顔は真っ青だったが、恐怖の後には興奮が残っていた。「本当に逆さに吊るされた女がいたのか?」と一人が言った。私たちはその話で盛り上がりながら、笑い合った。
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