
長編
魔法の言葉
匿名 3日前
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とウォークインクローゼットがそこにはある
ギギギ ギギギ
不自然に、ゆっくり クローゼットのドアが開いていく
部屋が暗いためクローゼットの中もさらに暗く、ほとんど見えないが誰かそこにいることは分かった
目がだんだんその暗さに慣れてきて少しだけ確認することが出来た
男だ
年齢はわからない。その皮膚は火傷のケロイドで覆われていて、もはや皮膚と見受けられる部分などないに等しかった
ゆっくりこちらに近づいてくる
ぎこちなく 細い脚で ペタリペタリと
声がでず、助けて。と、そう願うしかできなかった
男はついに私の横までやってきた
喉の奥がヒューヒューとなるのが分かる
私は死ぬのだろうか。死にたく、ない
涙が流れる
男が私の髪に触れる
初めての感覚でなんて言えばいいのかわからない
ただきっとこの感覚に名前を付けるとしたら 孤独感
どんどんその男に何か大切なものを奪われて行っている感覚
それが命なのかはわからない
目を瞑る
何も分からない 真っ暗闇に落ちていく
息苦しく すごい圧を感じる ぺちゃんこになりそう・・・
私は瞳を閉じた
真っ暗闇の中 誰かが私を呼ぶ
美沙
美沙
美沙
一体誰だろう
温かく光る何かが私の元にやってきて囁いた
「 」
私が目を開くと同時に部屋の扉が開いた
「美沙!!!!!」
「佑太っ」
私はベットから飛び降り部屋に入ってきた彼と抱き合う
泣きじゃくり言葉が出ない
「ッ~おと、こがっ!いて」
私は部屋を振り返るがそこには何もなくクローゼットは何もなかったようにしまっていた
「本当にッ本当にいたの!」
「美沙っ」
「嘘じゃないよッ!?本当にッ」
「美沙ッ!!!!」
震える私を抱きしめながら彼が私の名前を強く読んだ
「大丈夫。信じてるから。怖かったよね。早く気づけなくてごめんな」
彼の温もりで落ち着きを取り戻し二人でリビングのソファーに腰掛ける
佑太が淹れてくれたココアが体にしみる
そこから佑太がぽつりぽつりと話してくれた
「俺もさ、仕事しながらうとうとしてたんだ。それでいつのまにか寝てた。そしたら夢を見たんだ。部屋はこの部屋なのになんだか別の世界みたいな感覚がした」
まるっきり景色も同じなのに冷たくどこか不安感を
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- 普通に感動する話だった夢の魔女