
短編
子どもしか通れない場所
匿名 2日前
chat_bubble 1
4,042 views
私の実家は、昔ながらの日本家屋の母屋+増築の洋室、その奥に子ども部屋という造りになっています。
ある時間帯になると、母屋の一室に家族で集まるのですが、子どもの時分はなかなか時間が守れずに叱られることもしばしばありました。
どうにかして、子ども部屋から素早く母屋に行けないかと思っていたある日、子ども部屋のタンスの上、その壁に小さなガラスの引き戸があることに気づきました。
子どもの私は、不思議に思うこともなく、なぜかそれがどこかの部屋に通じているような気がしました。
入ると、そこはとても狭く子どもの体でも四つ這いにならないと通れないほどでした。
少し進むと少し開けた場所があり、灯りはありませんでしたがなぜかそこだけ異様に明るいのです。
そこからまた薄暗い通路が続き、やがて小さな小扉に辿り着きます。
扉を開けると、母屋の納戸の中でした。
母屋にある例の部屋とは隣り合わせです。
通路を発見した私はそこを常に使うようになりました。
しかし、次の夏、私は病気を患い一ヶ月間入院することになりました。
退院してから、私の部屋は母屋の中の一室になり通路は使わなくなっていきました。
それから数年、大人になった私は、実家から出る際に子ども部屋の例の通路を見に行きました。
埃を被ったタンスの上 壁にガラス戸はありましたが、開けると通路はなく、母屋と離れの継ぎ目があるだけでした。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(1件)
- ほんフラミンゴ