
数年前、ある若い女性ドライバーが長距離トラックの運転をしていた。彼女は大阪を出発し、目的地はある山奥に位置する霊園だった。納期が迫っていたため、彼女は早めに現場に到着し、トラックの中で仮眠をとる習慣があった。
その晩、夜中の2時頃、彼女は山道の脇に車を停め、少しだけ食事をとり、仮眠を取ることにした。辺りは雪が降り積もり、静寂に包まれていた。トラックのエンジンを切り、古いカメラで風景を撮影しながら、ウトウトし始めた。
しかし、突然、ラジオが途切れ、続いてカメラのシャッター音が響いた。驚いて目を覚ました彼女は、何か不気味な気配を感じた。外を見ると、ただ雪が降り積もるだけで、何も見えなかった。
再び目を閉じると、今度はトラックの後ろで話し声が聞こえ始めた。「あれ、見てみろよ。」という声が響き、彼女は不安になった。
その時、急に後方からエンジン音が聞こえ、サイドミラーに光が映った。ハイビームの光が眩しすぎて、彼女は思わず目を細めた。誰かが意地悪をしているのだろうか。
注意をしようかとも思ったが、相手が去るだろうとそのまま様子を見た。ところが、声はますます大きくなり、彼女は恐怖で動けなくなった。
しばらくして、彼女は意を決してエンジンをかけると、後方の光がパッと消え、静寂が戻った。
不審に思い、外に出てみると、そこには誰もいなかった。雪の上には車の痕跡もなく、ただ自分のトラックだけが寂しく停まっていた。
その時、ふと視線が左側に向かい、雪の中に埋もれた古いカメラが目に入った。カメラには何かが映り込んでいる様子があり、恐る恐る近づくと、目にしたものは……彼女自身の姿だった。
その瞬間、背筋が凍りつく思いがした。彼女の姿が、そこにはなかったのだから。あるのはただの雪だけ。彼女はその場を後にし、心の中で再び雪が降り積もるのを感じながら、恐怖の記憶を抱えて走り去った。
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