
冬の寒い昼下がり、独身のサラリーマンである私は、高層マンションの郵便受けを覗いた。いつもと変わらぬ郵便物が入っている。その中に、また見知らぬ人物からの年賀状が一枚混ざっていた。「昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします」と書かれたそのメッセージは、毎年同じ内容だ。
年賀状が届くのは、これで20年近くになる。最初は何も気にせずにいたが、年を重ねるごとにその異常さが気になり始めた。特に10年前、数年間は見知らぬ子供の写真が添えられていた。子供の無邪気な笑顔に、私は不気味な感覚を覚えた。誰に聞いても、親族や友人はもちろん、会社の同僚に至るまで、誰もその子供を知らなかった。
引っ越しを重ねるごとに、年賀状は私のもとに届き続ける。新しい住所を知らせたこともないのに、なぜか私だけはその手紙を受け取り続けている。年賀状の差出人の名前は一切書かれていない。
ある年、私は意を決して、差出人を調べることにした。ネットを駆使して、情報を探し回ったが、手がかりは見つからなかった。全くの無名の人間からの手紙、それは私の生活の中に不気味な影を落としていた。
次第に、年賀状のことが気になって仕方なくなり、私はその存在に怯えるようになった。ある日、ついに衝撃の年賀状が届いた。それは、今までのように無名の人物からではなく、私の名前が記されていた。恐怖に駆られた私は、郵便物を受け取ることができなくなった。年賀状は次第に、私の存在を消し去ろうとしているのではないかと感じた。彼らは、私を見つけるために送り続けているのかもしれない。
その後、私は年賀状を捨てることにした。恐怖から逃れるために、封を切ることもせずに、ただ捨てる。しかし、毎年、同じ時期になると、郵便受けにはまた新しい年賀状が無言で待っているのだった。これからも、私の恐怖は終わることなく続くのだろうか。私の存在は、誰かにとっての記憶の一部なのかもしれない。そう思うと、心の奥が冷たく染まっていくのを感じる。
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