
さっき、8月の「3年連続のカラダ探し」を書き込んだ、大学1年の俺だ。
夏休みが明けて新学期が始まる9月、あの学校はまた、別の怪談が待っていた。
8月下旬にようやくあの地獄のカラダ探しのループを終わらせ、心身ともにボロボロになりながらも、9月になって新学期が始まった。学校全体が運動会の練習で活気づく中、俺は「やっと普通の日常に戻れたんだ」と必死に自分に言い聞かせていた。
だけど、あの異常な土地が、俺を日常に帰してくれるわけがなかったんだ。
今回は、運動会の居残り練習のあとの夕暮れのグラウンドで、俺の「足」が物理的に引きちぎられかけた、5回目の怪談をここ吐き出させてほしい。
9月中旬のある日のことだった。
その時期の学校は、再来週に迫った運動会の練習一色で、放課後も各クラスがリレーや応援合戦の居残り練習で遅くまで残っていた。
陸上部の中距離をやっていた俺は、部活の通常メニューに加えて、運動会の準備のグラウンド整備や片付けの手伝いもあり、すっかり日が暮れる時間までグラウンドに残っていた。
夕方18時半を過ぎた頃、あれだけ騒がしかった他のクラスの奴らも全員帰り、グラウンドには片付けを一人で押し付けられた俺だけになった。
西日が落ちて、グラウンドの隅には巨大な校舎の長い影がどろりと伸びている。
早く片付けて帰ろうと、俺がトラックの隅にあるハードルやコーンを器具庫に運んでいた、その時だった。
静まり返った誰もいないグラウンドの向こうから、奇妙な音が聞こえてきた。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……!!
足音だった。それも、普通のランナーの足音じゃない。
2人の人間の足音が、不自然に完全に同期して重なっているような、重くて引きずるような、あの【二人三脚】の独特な足音だ。
驚いて顔を上げ、声のするトラックの第4コーナーの暗がりに目を凝らした。
心臓がドクンと嫌な跳ね方をした。
そこに、いた。
夕闇に染まるトラックの上に、ピタッと肩を寄せ合うようにして並んだ【2つの人影】が立っていた。
だけど、おかしいんだ。そいつらの体操着は、泥と、どす黒い血のようなものでベッタリと汚れていて、何より、そいつらの【足首】だった。
お互いの足首が、太い麻紐で、肉に食い込むほど異常な強さでグルグル巻きに縛り付けられている。その紐の隙間から、赤黒い血がボタボタとグラウンドの砂に滴り落ちていた。
後日談:
- 俺は昇降口のコンクリートの床に倒れ込んだまま、激しく呼吸を乱しながら自分の右足首を確かめた。 そこには化け物たちの持っていた麻紐と全く同じ太さで、【皮膚が真っ赤に擦り切れ、どす黒い手形のような内出血の痕】が、足首を一周するようにびっしりと残っていた。 翌日、陸上部の顧問や、運動会の実行委員の先輩たちに、「昔、運動会の練習中に二人三脚で大怪我をした生徒とか、そういう事故はなかったか」と聞いて回った。 だけど、返ってきたのはいつもと同じ反応だった。 「うちの学校でそんな凄惨な事故が起きるわけないだろ。お前、8月の疲れがまだ残ってるんじゃないか?」と、苦笑いされるだけだった。 【噂すら誰も聞いたことがない、俺だけが引きずり出された未知の呪い】だった。 あれから大学1年になった今でも、俺は二人三脚という競技がトラウマで見ることもできない。 そして、今でもあの時の傷跡は、俺の右足首に薄黒いアザとして消えずに残っている。 体育祭の時期である9月になると、そのアザがまるで麻紐でギチギチに縛り上げられているかのように、激しくズキズキと痛み出すんだ。 これが、9月。新学期早々、俺が体験した5回目の怪談だ。 あの学校の土地は、運動会が終わって秋が深まる10月になっても、さらに別の角度から俺の肉体を破壊しにやってきた。 次は10月だ。
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