
長編
隙間人間(コピペ
匿名 4日前
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からんよ。でもな、凄く優しそうな顔して、辛かったら、いつでもこいや。みんな待ってんねんで、って言われるんよ」
「みんな?」
「いろんな人がおんねん。いつも違う人が隙間にいるけど、偶に同じ人が挟まりながら誘ってくる事もあんねん」
「ついてったらどうなるの?」
「はっきりとは分からん。でも、多分もう戻ってこれないんやろうな。何となくやけど、それは感じんねん」
「いつから見えてるの?昔から?」
「お兄ちゃんがいた頃は見えへんかったんやけど、お兄ちゃんがいなくなってから、見えるようになったんや」
「え、お前、お兄ちゃんいたの?」
「分からん。急にいなくなったんや。母ちゃんに聞いても、お兄ちゃんなんて昔からいないって言うし、僕がおかしいだけなのかもしれん」
「その、隙間人間とお兄ちゃんがいなくなった事って、なんか関係あんのかな?」
「分からんよ。でも、お兄ちゃんがいなくなったら急にこっちに引っ越すことになって、それからやねん、僕が隙間人間を見るようになったの」
「なんだかわかんないけど、見えても無視しろよ。寂しいじゃん。いなくなっちゃったりしたらさ」
「うん、そうするわ。ごめんな、変な話しして。でも、お前にしか、こんな話しできんやろ」
それ以上彼は何も言わず、僕らは黙って夕飯の時間まで公園のベンチで並んで夕焼けを見ていた。
僕らはそれからも変わらず仲良く日々を過ごした。
彼もあの日以降隙間人間の話をすることもなく、僕は隙間人間の事なんてその内すっかり忘れてしまった。
それから一年、二年と過ぎ、僕と彼は五年生になっていた。
相も変わらず僕と彼は学校が終わると一緒に帰り、そのまま僕の家によって鞄を置いてから遊び、夕飯を食べ風呂に入るまで毎日一緒に過ごした。
殆どなにも変わらなかったが、唯一、彼が親に虐待に近い体罰を受け始めた事が大きな変化だった。
始めに気付いたのは僕で、風呂に入っている時に、彼の背中に小さく丸い火傷の跡を見つけてしまった。
「父ちゃんが、生意気だって、煙草を押しつけてきたんや」
彼はそう言うと湯船に顔をつけ、それ以上何も言わなかった。
僕は母親にその事を打ち明け、何とかして欲しいと頼んだが、
「ここにこれなくなるかもしれんから、お願いだから何も言わんといて!」
と彼が必死に僕の母親に頼むものだから、怪我をしたら直ぐに言う事を条件に、それ以上深入りしない
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- 一人っ子のはずがいつの間にか弟いるんだが?ぬん
- 何か読んだことあるようなまい
- この話面白い。読み入ってしまった。友達が不憫でしょうがないが。うんこりん
- 主人公は一人っ子のはず… でも、二つ離れた僕の弟よりも 彼は小さい… 弟も隙間に行ったの・?匿名
- え、死んだの、投稿者さん怖話
- 自分から隙間に入っても幸せにはなれん菜々氏
- 長! お疲れ様です!あいこ
- 切ない匿名
- 隙間にいる人、見かけたことある人が怖がっていました。 隙間にいた人、偉い人らしいです。お金に困っているようで、偉い人がお金に困っていると、 普通の人の生活もこれからもっと大変になるかもしれないと思いました。クネクネ