
小学生の頃の体験です。
こういう話をすると変に思われるかもしれませんが、今でも玄関の鍵の音を聞くと、ふと“あの日”のことを思い出す時があります。
ほんの一瞬だけ、胸の奥が冷えるような感じがするんです。
当時の私は、怖い話がとにかく好きでした。
夏休みの午後にやっているワイドショーの心霊特集を夢中で見たり、レンタルビデオ屋で心霊映像のVHSを借りたりしていました。今思えば、よく飽きなかったと思います。
近所に本屋ができたときには、心霊写真を集めた本を見つけて、お小遣いで買いました。
怖いのに、ページをめくる手が止まらない。そんな感じでした。
その日も放課後、友達が何人か家に遊びに来ていて、私の心霊写真集を広げて見ていました。
「これはすごいね!」
「やばい、ほんとに写ってるじゃん」
そんなふうに笑いながら、ページをめくっては盛り上がっていました。
その流れで、怖い話を順番に披露することになりました。
テレビで聞いた話、誰かの親戚の話、ラジオの都市伝説。
今なら笑ってしまうような内容ばかりなのに、その頃はそれだけで十分怖かった。
途中で、1人が急にテンションを上げて言いました。
「心霊探偵団を結成しよう!」
子どもってそういうノリが好きですよね。
それが妙におもしろくて、私たちはそのまま外に出ました。
公園や住宅街の細い道、木の多い遊歩道。
昼間なのに、ちょっとだけ暗く感じる場所。
“それっぽい場所”を探して、あてもなく歩き回ったんです。
道中もずっと怖い話をしていました。
話している間は楽しくて、怖いというよりワクワクしていました。
たぶん私が一番はしゃいでいたと思います。
幽霊なんて見たこともないくせに、
「出るなら出てこいよ」
なんて口にしていました。
でも、そのあたりからです。
急に、身体の感覚が変わりました。
空気は暖かいのに、背中だけ冷えていく。
歩いているのに、勝手に歩幅が小さくなる。
心臓の鼓動が速くなって、息が浅くなる。
理由はないのに、「何かよくないことが起こってる」と思い始めました。
景色はいつも通りでした。
車の走る音、通行人の声、鳥の鳴き声。
住宅街の生活音が、途切れず流れていました。
けれど、その“生活音の隙間”に、何かが混ざった気がしました。
声としてはっきり聞こえたわけじゃありません。
むしろ逆で、耳で聞いたというより、先に意味が届いたような感覚でした。
一瞬だけ、
「……みつ」
そう聞こえました。
後日談:
- ここからが始まりだったのかもしれません。
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