これはだいぶ前の話、あんまり覚えてないけど、記憶の中の父親はまだ煙草を吸っていたから、少なくとも俺が5〜8歳までの間だと思う。 確か母方のじいちゃん家に向かってて、その帰り道だったと思う。まぁじいちゃん家の方でも色々あったんだけど、それはまた今度。高速道路で家まで帰ってる時に、父親がトイレに行きたいってことでサービスエリアに寄った。時間は10時を回っていて当時小学生の俺は、こういう夜中の時間に起きてると、大人の時間だーって騒いで母親に早く寝ろーってよく怒られてたっけ。この日も全く同じ、サービスエリアに着いて、大人の時間だーって騒いで、迷惑になるから静かにしろって怒られ、頭に軽くゲンコツをくらい、母と父と一緒にフードコートを歩いて、お土産屋に寄って軽く何があるのか見たりして、何事もなく静かに時間が過ぎていった。でもって母が何か買っていてそれをレジに持っていっている最中、父親が「煙草吸いに行くからお前もついてこい」今だったら何か言われるかもしれないけど当時は何も考えず父についていってた。この日もいつも通り喫煙所までついていって、喫煙所の外で待ってた。中からは父親がzippoを開ける音がきこえ、ああ今吸ってるんだなーと思った時、どこからかマッチの匂いがした。オイルライターとは違い、木が燃える匂い、オイルライターの匂いばかりする喫煙所では、ある意味『異質』ともとれるようなそんな香りだった。その匂いを俺はなぜかとてもいい匂いに感じて、どこだ、どこだと匂いの元を辿ろうとすると、喫煙所の裏からだった、そこには小さい祠のようなものがあり、火をつけられて真新しい線香と薄汚れたマッチが置いてあった。そこで何を思ったのかわからないが、俺はなぜかその線香の灰が落ちる様子をぼうっと眺めていた。その時、父から「お前、何してんだ?」と言われ、ハッと正気に戻った。俺はいつのまにかその祠に向かい、正座をして軽く頭を下げ、手を合わせていた。俺も子供ながらに何でこんなことしてるんだろう。と不思議に思ったが、その後は父に手を引かれ、母と合流し、車に戻り、夜の高速道路を駆け抜けた。問題はこの後で、その後、俺は偶然だと思うけど、夢遊病になってしまった。だが、夢遊病というにはあまりに激しく、あまりに酷いものだったという。父と母はその様子から、狐に取り憑かれたと思ったらしい。その後、何ヶ所かお祓いに行ったが効果なし。今では何もないないが、これは中学3年生まで続いたそう。祠はなんなのか。俺はなぜ祈っていたのか。今でもあそこにあるんだろうか。これもいつか行ってみたいと思っている。いろんな理由を挙げたが、もしかしたら俺はただ単純にあの不思議な香りがしたマッチの匂いをもう一度嗅ぎたいだけなのかもしれない。