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長編

迷い込んだ遭難者

しもやん 2日前
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根の踏み跡はこんなに薄かっただろうか、と。  当たり前だが、山にはめったに人が立ち入らない。もの好きな登山者がときおり歩く程度で、大部分の時間は人のいない無人の山岳地帯が茫漠と広がっている。量子力学の哲学的解釈では、人間が波動関数を観察によって収束させているという説がある。人間が物事を見た瞬間、それが契機になって重ね合わせになっていた事象が確定するという例のたわごとである。  それでもわたしは思うのである。山には人間がほとんど訪れない。観測して波動関数を収束させる媒体がいない。そんなときの山々というのはどんなふるまいをしているのだろうか。ぐにゃぐにゃとありうるすべての尾根や沢が同時に重なり合う、量子力学的な風景なのだろうか。  彼が迷い込んだのは、未観測のたゆたう山だったのだろうか。

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