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きんけまん
長編

きんけまん

匿名 2016年3月8日
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昔、幼い兄弟がいました。兄は小学生、弟はまだ3歳ぐらいでした。兄弟の父親は居らず、母親は毎日朝早くから夕方まで働いて、晩御飯を作る頃には帰ってくる生活でした。 母が帰るまでの間、弟は一人で留守番をし、兄は学校が終わると直ぐに家に帰り、弟の面倒をみる賢い兄弟でした。 兄は学校から帰ると必ず家の玄関の鍵を閉めていました。二人は母親から「良い?約束よ。玄関の戸は必ず締めなさい。お母さんやお婆ちゃんは鍵を持っているから、どんな人が訪ねてこようと、決して鍵を開けてはダメよ。特に"きんけまん"は貴方達を騙して、中に入ってきて貴方達の顔お食べてしまい。自分と同じ"きんけまん"にしてしまい、二度とこの家には戻ってこれなくなっていまうのよ。」といつも言い聞かせていました。二人はその言いつけを守り、必ず鍵を開けることはありませんでした。 ある日の事、二人が留守番をして母親を待ってる頃、玄関を叩く音がしました。 近づいて尋ねると「オカアサンヨアケテカエッテキタワヨ。」と何とも奇妙な声で言ったのです。 兄と弟は奇妙に思い、覗き穴からその姿を確認しました。それはとてもとても、人とは思えない姿をしていました。 腕や足は細長く、首も異様に長い上、頭は子供ぐらいの大きさでした。 目は大きく、中は真っ黒で、口は頬まで避けていました。兄弟が覗いているのに気が付いたのか、「オカアサンヨアケテカエッテキタワヨ。」とふたたびこちらを向いて言いました。 兄弟は怖くなりましたが、兄が勇気を出して「お前は"きんけまん"だ!騙されないぞ!帰れ!」と言いました。 それを聞くと"きんけまん"は「バレテシマッタ……」と言って、その場を去りました。兄弟はホッとして、又大人しく母親を待つことにしました。 そして暫く二人で遊んでいて、さっきの事を忘れかけていた頃、今度は玄関で女の人の声がしました。「お母サンヨあケテ帰ってキたわヨ。」と聞こえてきました。しかしさっきとは違い、少し母親の声にも似ていました。兄弟は又、覗き穴から確認すると、腕や足はいつもの母親の物で首も長くはありませんでしたが、やはり先程と同じく頭は小さい上、目は大きく中は真っ黒で、口は頬まで避けていて、それは"きんけまん"でした。 "きんけまん"は覗き穴から見る二人に不気味な笑顔を浮かべながら「アナタタチノオカアサンヨタベテアゲルカラアケテ。」と言いました。 流石に二人は恐ろしくなり、恐怖のあまり玄関から離れて布団に包まってしまいました。しかし、玄関は鍵を掛けてあるので、"きんけまん"は中に入ってくる事はありませんでした。 兄は自分も泣いていましたが、恐怖のあまり泣いてしまった弟に「大丈夫、大丈夫…」と何度も呟きました。 それから暫くたって、玄関を激しく叩く音が聞こえました。「お兄ちゃん、次郎ちゃん大丈夫!お母さんよ!何かあったの!」と母親が帰って来ました。それを聞いた兄弟は本当に安心して、玄関まで駆け寄りました。「二人とも何かあったの?怖くなかった?もう大丈夫だから、鍵を開けてちょうだい。」と言いました。二人は恐る恐る覗き穴から確認しましたが、紛れもなく母親でした。 弟は「お母さんだ!」と喜びましたが、兄は少し不思議に思いました。 どうして自分で開けて入ってこないんだろう?いつもは勝手に開けて「ただいまっ」て入ってくるのに、自分達が玄関を開けるのを待ってる様でした。 「何をしてるの?お母さんよ、早く開けてチヨウダイ…」と、少し声がおかしい様に聞こえましたが、弟はそれに気付かず、玄関の鍵を開けてしまいました。 二人は安心した様子で戸を開けると、そこに立っていたのは母親ではなく、大きな目で中が真っ黒な"きんけまん"でした。姿は母親でしたが、明らかに違っていました。二人は恐怖のあまり、全く動けませんでした。"きんけまん"は「アリガトウ…」と言うと避けた口を大きく開けて、弟の顔めがけて嚙みつきました。 「うわぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」 兄は怖くなり、その場から逃げ出してしまいました。"きんけまん"は「バリボリ、バリボリ…」と音を立てながら、弟の顔の目や鼻を食べていました。兄は"きんけまん"が弟の顔の食べている隙に、階段の下の物置に隠れ階段の隙間から、その様子を見ていました。 "きんけまん"が弟の顔を食べ終り、弟が倒れて落ちると顔がこちらを向いていましたが、顔は目も口も鼻もないノッペラ坊でピクピクと動いていました。 "きんけまん"は弟を残して、兄を探し始めました。「どうしたのお兄ちゃん、お母さんよ。出てらっしゃい。」と母親の声で探し始めました。 台所の机の下、客間の押入れ…順番に丁寧に探し始めました。 兄は恐怖のあまり心の中で「神様、仏様、キリスト様、助けてください。」と何度も祈りました。 すると階段の上の窓から、綺麗な光が差し込んできて、白い階段が現れました。 兄は「あれに登れば神様が助けてくれる。」と感じ、"きんけまん"が目を逸らした隙に物置を抜け出し、急いで家の階段を駆け上がりました。 階段の上の窓から光の白い階段に登ろうとした時、下から「オニイチャンタスケテボクヲオイテイカナイデ。」と弟の声がしました。後ろを振り返ると階段の下には、目が大きく中は真っ黒、口は頬まで避けている"きんけまん"になってしまった弟が昇ってきました。 兄は泣きながら、「次郎、ゴメンな…ゴメンな…」と何度も謝りながら、白い階段を登って行きました。 しかし、下を見るとその白い階段を"きんけまん"と"きんけまん"になった弟が追いかけてきています。 兄は「神様、仏様、キリスト様助けて下さい。」と再び祈りました。 すると雲の上から強い光が放たれ、兄のすぐ後ろの階段が、煙の様に消えて無くなりました。後ろにいた"きんけまん"と弟はそのまま下に落ちて暗闇に消えて行きました。 兄は泣きながら階段を登っていましたが疲れていまい、階段の途中で横になってしまいました。 そして、再び目をさますとそこは家のなかで、布団に包まっていました。 そして、直ぐに「ただいまぁ」と玄関から声がしました。兄は直ぐに玄関かへ駆け寄ると、いつもの様に母親が仕事から帰ってきていました。兄は「お帰り。ねぇ、次郎は何処?」と尋ねると母親は「誰それ?お友達?」と言いました。兄は「違うよ!弟の次郎だよ!」と言いましたが、母親は「何を言っているの?貴方は生まれてのこの方、ひとりでしょ…。変な事言わないで。」と弟の事を知らない様子でした。兄はびっくりして、家の中を探しましたが、弟のが居た痕跡は何一つありませんでした… 兄は気付きました。弟は"きんけまん"に食べられてしまったから、この家には戻れなくなってしまったんだと……

後日談:

  • これは私が幼稚園ぐらいの頃、母親から聞いた話です。 母も私の祖母に子供の頃に聞かされたそうで、その祖母は先日亡くなり、ふと、思い出したので書き込んでみました。話の時代背景は昭和の戦後間もなくの頃でしょうか?借家に住んでいる母子家庭の兄弟の話です。

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