
私は、祖母が経営していた古本屋で育った。特に霊感があるわけではなかったが、幼少期から本に囲まれて育ったため、様々な物語には親しんできた。ある冬の夜、いつものように店を手伝っていると、店主が持ってきた一冊の古い本が目に留まった。表紙には、異様な模様が描かれていた。
「これは珍しい本だ。伝説によると、この本を持つ者には必ず不運が訪れるらしい。」店主は私を見つめながら言った。
「それは面白い話だね。でも、どうせただの噂でしょ?」私は軽く受け流した。店主は、何かを思い出したように顔をしかめた。「いや、俺は本気で言っている。最初は冗談だと思っていたが、実際に持っていた人がことごとく不運に見舞われたんだ。」
それから数日後、私はその本を自宅の本棚に置いた。何も起きないだろうと思っていたが、その晩、夢の中で異様な影が私を見下ろしていた。その影は、言葉にならない恐怖を私に植え付けた。目が覚めた瞬間、心臓が激しく鼓動していた。
次の日、私はふとした瞬間に転んで、手首を捻挫した。軽傷だったが、昨晩の夢と相まって、何か嫌な予感がした。店主にそのことを話すと、彼はため息をついた。「そうだろう。だからこの本は捨てるか、別の場所に封印することを強く勧めたんだ。」
しかし、私はその本に興味を持ち続けていた。数週間後、私の周囲で小さな不運が続き、友人たちにも同様のことが起き始めた。その度に、私は本を手に取るたびに不安を覚えた。
ある日、友人が私の家に遊びに来た。彼女はその本を見つけて興味を示した。「これ、面白そうだね。貸してくれない?」
私は躊躇ったが、彼女を信じて渡すことにした。その夜、彼女は帰宅中に交通事故に遭った。幸い軽傷だったものの、私はそのことを聞いて震え上がった。これが本の呪いだと実感した。
次の日、私は急いで古本屋に向かい、本を店主に返そうとした。しかし、店主は驚いた表情を浮かべていた。「その本、君が持っていた時に何かあったのか?」
「友人が事故に遭った。これは本当に呪われているのかもしれない。」
「だから言っただろう。お前にはこの本が必要ない。もう手放した方がいい。」店主は真剣な眼差しで私を見つめた。私は本を店主に渡し、安堵の息を漏らした。
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