本当にあった怖い話

怖い話の投稿サイト。自由に投稿やコメントができます。

長編
灰色の森
匿名
灰色の森
長編

灰色の森

匿名
2013年9月30日
怖い 685
怖くない 693
chat_bubble 6
74,609 views

私は“馬鹿”だ。

人を愛する事が、こんなに苦しいだなんて…。

人を本気で愛して、まさかこんなに苦しい想いをするだなんて…。

冷静で、時に厳しく、そして優しい笑顔と温かい眼差しで未熟な私を支え続けてくれるアナタ。私だけでなく、全ての人に分け隔てなく寛容な態度で接するアナタ。私はこの会社に入社以来、徐々にアナタに惹かれていった。

当時、二年付き合った彼氏と別れており、その寂しさの為に自分の心が揺らいでいるのかと思ったが、そうではなかった。

紛れもなく『恋』だった。

綺麗に整理された彼のデスクの上には、縁なしのガラスのフォトフレームの中に綺麗な女性と小さな女の子が写った写真、またチラシの裏紙に辛うじて読み取れる拙い字で「パパ」と書いてある落書きのようなクレヨン画が、共に大切そうに飾られている。

奥さんと子供…。

そう、私は、上司である彼に恋をしてしまった。

恋した相手が、まさか既婚者だなんて…。いや、既婚者だと分かっていたにも関わらず、彼への募る想いを止められずにいた。

私は夜が怖かった。

仕事を終え帰宅し、自宅である小さなアパートの一室で、私がテレビを相手に一人食事をしている時、アナタは奥さんと子供と共にあの笑顔で食事をしているのだろうか。私が冷たい敷き布団で一人眠る時、アナタは奥さんと肌を温め合っているのだろうか。

そんな事、考えてはいけない、想像してはいけないと自分に言い聞かせても、止めどなく頭に涌き上がる。

私は毎晩涙を流し、まるで果てしなく広大な切なさの海に放り出され、力尽き沈みゆくまで漂うように、眠りに就くのをただ待つのであった。

大学からの付き合いである二人の友人は、会う度にやつれていく私を心配してくれた。彼女達に相談でもしていれば少しは気持ちが楽だったかもしれない。でも、出来なかった。彼女達にはそれぞれ彼氏がおり、順調で幸せそうだ。上辺で同情出来ても、私の事を真に理解はしてくれないだろう。

数少ない友人である彼女達とも、次第に疎遠になっていった。

気が付けばアナタへの『恋』は、『愛』へと変わっていた。

深く、深く、苦しい程に、どうしようも無い程にアナタを愛してしまった。

終業時間が訪れ同僚達が皆帰宅してしまい、たまたま私と彼だけがオフィスに残っていた時の事。

私は彼と二人だけになったその空間が急に怖くなり、身体が震えだしていた。高鳴る鼓動を抑えるかのように、震える手を、もう片方の震える手で握りしめる。首元が熱くなり、薄らと汗が滲み出す。

1 / 8

後日談:

後日談はまだありません。

この怖い話はどうでしたか?

f X LINE

chat_bubble コメント(6件)

コメントはまだありません。

0/500

利用規約をよく読んで、同意の上でコメントしてください。

・連続コメントは禁止しておりますが、新規登録・ログインすることで、連続コメントも可能となります。

お客様の端末情報

IP:::ffff:172.30.2.33

端末:Mozilla/5.0 AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko; compatible; ClaudeBot/1.0; +claudebot@anthropic.com)

※ 不適切な投稿の抑止・対応のために記録される場合があります。

label 話題のタグ

search

【参加型】投稿企画・タイアップ企画

  • 禍禍女
  • 心霊スポット
  • 意味怖

一息で読める短い怪談

読み込み中...

じっくり染み込む中編怪談

読み込み中...

深夜に読むと戻れなくなる長編怪談

読み込み中...
chat_bubble 6