
長編
灰色の森
匿名 2013年9月30日
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私は“馬鹿”だ。
人を愛する事が、こんなに苦しいだなんて…。
人を本気で愛して、まさかこんなに苦しい想いをするだなんて…。
冷静で、時に厳しく、そして優しい笑顔と温かい眼差しで未熟な私を支え続けてくれるアナタ。私だけでなく、全ての人に分け隔てなく寛容な態度で接するアナタ。私はこの会社に入社以来、徐々にアナタに惹かれていった。
当時、二年付き合った彼氏と別れており、その寂しさの為に自分の心が揺らいでいるのかと思ったが、そうではなかった。
紛れもなく『恋』だった。
綺麗に整理された彼のデスクの上には、縁なしのガラスのフォトフレームの中に綺麗な女性と小さな女の子が写った写真、またチラシの裏紙に辛うじて読み取れる拙い字で「パパ」と書いてある落書きのようなクレヨン画が、共に大切そうに飾られている。
奥さんと子供…。
そう、私は、上司である彼に恋をしてしまった。
恋した相手が、まさか既婚者だなんて…。いや、既婚者だと分かっていたにも関わらず、彼への募る想いを止められずにいた。
私は夜が怖かった。
仕事を終え帰宅し、自宅である小さなアパートの一室で、私がテレビを相手に一人食事をしている時、アナタは奥さんと子供と共にあの笑顔で食事をしているのだろうか。私が冷たい敷き布団で一人眠る時、アナタは奥さんと肌を温め合っているのだろうか。
そんな事、考えてはいけない、想像してはいけないと自分に言い聞かせても、止めどなく頭に涌き上がる。
私は毎晩涙を流し、まるで果てしなく広大な切なさの海に放り出され、力尽き沈みゆくまで漂うように、眠りに就くのをただ待つのであった。
大学からの付き合いである二人の友人は、会う度にやつれていく私を心配してくれた。彼女達に相談でもしていれば少しは気持ちが楽だったかもしれない。でも、出来なかった。彼女達にはそれぞれ彼氏がおり、順調で幸せそうだ。上辺で同情出来ても、私の事を真に理解はしてくれないだろう。
数少ない友人である彼女達とも、次第に疎遠になっていった。
気が付けばアナタへの『恋』は、『愛』へと変わっていた。
深く、深く、苦しい程に、どうしようも無い程にアナタを愛してしまった。
終業時間が訪れ同僚達が皆帰宅してしまい、たまたま私と彼だけがオフィスに残っていた時の事。
私は彼と二人だけになったその空間が急に怖くなり、身体が震えだしていた。高鳴る鼓動を抑えるかのように、震える手を、もう片方の震える手で握りしめる。首元が熱くなり、薄らと汗が滲み出す。
すると不意に「まだ帰らないのか?」と彼が声を掛けてきた。一瞬身体がビクリとなり、私は慌てて「あ、いえ…」と返事をする。彼は小さく頷き、「僕が鍵を閉めるから、帰宅の準備が整ったら声を掛けてくれ」と優しい笑顔で言う。
“帰らなきゃ”、そう思った。しかし、その思いとは裏腹に、私は勢い良くオフィスチェアから立ち上がり、「あのっ!」と彼に声を掛けていた。意図しない事に、自分で自分に驚いた。
!?待って!私は何をするつもり?
…、でも…。
ダメッ!絶対ダメよ、そんな事!
私の中で葛藤の嵐が巻き起こる。どんどん早くなる鼓動に、呼吸が追いつかない。
彼が真っ直ぐな眼差しで私を見つめ、次の言葉を待っている。
その瞳を見た途端、私の頭の中が真っ白になった。
どのように、どんな言葉で伝えたのか、案の定、私はフラれてしまった。
分かっていた。アナタは、本当に奥さんと子供を愛している。別にアナタを試すつもりではなかったけれど、どうしても想いを打ち明けずにはいられなかった。
その後、私はどうやって帰宅したかは覚えておらず、布団にくるまって一晩中泣き明かし、翌朝を迎えた。
彼に会う事が怖くて、その日は会社を休んだ。流石に無断で休む事ははばかられ、言い訳として仮病を使い、電話を切った後、ようやく泣き疲れて眠りに落ちた。
さらに翌日、私は自暴自棄になる事はなく、なんとか出勤すると、同僚達は心配そうに声を掛けてきてくれた。彼は私の仮病を見抜いているだろうにも関わらず、「大丈夫か?」と優しく言い、普段となんら変わらず、いつも通りの態度で私と接してくれた。
私は動揺した。
やはりアナタは大人だ。どうしてそんなに優しいんですか?私を子供扱いするんですか?私の想いを、ただの憧れや気まぐれ程度にしか思っていないのですか?アナタの優しさは、返って私を苦しめます。
一瞬涙が溢れそうになったが、なんとか堪え、私は自分の仕事に従事した。
その後も、彼への想いや苦しさは消えるわけでもなく、私の心は徐々に“闇”の中へと彷徨い出した。
どうしたら…、どうしたら振り向いてくれるのだろうか。
アナタの事を知りたいけれど、ストーカーにだけはなりたくない。アナタの奥さんや子供にだって、危害を加えるだなんて事は出来はしない。そんな卑怯な事をしたって、アナタが傷つくだけだもの。
奥さんからアナタを奪いたい訳では…。いや、それは…、正直わからない。ただ…。
アナタの特別な存在になりたい─────
私は本当に“馬鹿”だ。
ある事をして、彼の注意を引く事を思いついた。心が疲れ過ぎていたせいか、物事の判別がつかなくなっていた。そのあまりにも幼稚で愚かな方法を、迷いもせず実行に移す事にした。
いつも通り出勤し、皆が退社した後、私は会社のあるビルの屋上で、彼がやって来るのを待っていた。正直、来てくれる保証などはない。
これから大それた事を行う。緊張はしているが、妙に意識がぼんやりとしている。彼の事ばかりを考え過ぎて、その上寝不足で頭痛が酷い。
屋上から見る夜空には、点々と小さく星が瞬いている。久しぶりに見る月は、濃いオレンジ色で中途半端に欠けており、全く美しくない。吹き抜ける風は少々強く、また少し肌寒い。
私の胸の高さ程ある格子に両手を置き、眼下に広がる夜の暗く灰色のビル群と、その間を抜ける車の明かりを眺める。ハァと長めの溜め息をつく。
すると、遠くに見えるビルと隣接するビルの上を、飛び移る何かの影が目に入った。
ん?なんだろう?コウモリだろうか…。
都心でもコウモリは生息している。昼間はどこにいるかは知らないが、夜になるとビルとビルの間を飛び交う姿は時々目にすると聞く。しかし、今私が見たモノは“飛んでいる”では無く、“飛び移る”姿だ。それに、距離的に考えてもその大きさは、コウモリよりも遥かに大きいように思える。例えるなら、『猿』に近いかも知れない。確か昔、どこかで飼育されていた猿が逃げ出し、都心を駆け回ったとニュースになった事があったっけ。
でも、それよりもっと…。
そんな事を考えていると、後ろでカチャリと扉の開く音がした。
来た!来てくれた!
嬉しさと緊張で気持ちが高揚し、瞬時に身体の体温が上がる。
振り返ると、そこには不安と困惑に瞳を揺らませている彼がいた。
無理もない。私は今朝、彼のデスクにこっそりと置き手紙を残していた。内容はこうだ。
“みんながカエったら、おくじょうにきてください せめてワタシのおもいをみとどけてクダサイ”
「馬鹿な事は止めさない!」彼が叫ぶ。
そう、私は“馬鹿”です。分かっています。
「スミマセン…、でも、苦しくて…、苦し過ぎて、もう限界です」
「だからって、何も死ななくてもいいだろ!君はまだ若いんだ。素敵な男性との出逢いだって、これからまだまだ沢山あるだろう!」
月並みのセリフ。どこかで聞いたセリフ。どうしてそんな事しか言ってくれないの?もっと、何か特別な、私だけの為の言葉があってもいいんじゃないの?
そこまで思い、ふと気付き、私は目を見開く。
エゴだ。これは私のエゴなんだ。アナタを想っていながら、結局私は自分の事ばかりだ。本当に私はどうしようもない。これ以上、アナタに迷惑は掛けられない。やはり、死ぬしかない。せめて、アナタの心に留まるように、今すぐにでも。
私は再び格子の方へ向き、手を掛け乗り上げる。
後ろから「やめろ!」と彼の頼もしい声と、駆け寄る足音が聞こえる。
今、アナタの言葉は私だけに向けられている。もう特別な言葉じゃなくても構わない。嬉しい。アナタの声を聞いて、最期を迎える事が出来る。
「ありがとう、アナタを愛しています。さよなら…」
「止せ!わかった!わかったから、やめてくリュベッ!」語尾に奇妙な声を発し、その言葉は唐突に途絶えた。
一体どうしたのか。静けさの中に、小さくヌチャヌチャという音が聞こえる。
私は一旦格子を乗り越えるの止め、首だけで後ろを振り返る。
彼は首を45度程右に傾け、地上より1m程の高さで宙に浮いており、その後ろには大きな黒い影があった。
え?
そう思った途端、彼は黒い影と共に高く飛び上がり、ビルの裏側へと落ちていった。
私は唖然とし、格子から乗り出した身を下ろす。たった今、目の前で起こった事が理解出来ず、言葉を無くす。
すると、ダンッ!とすぐ傍で大きな音がすると同時に、僅かな月明かりと街の光を遮り、私に影が差した。
驚いてその方を向くと、全身を毛に覆われ、長い首と手を持った猿のような巨大な生物が、手と足で器用に格子を掴み、その上に乗っかっていた。そしてその長い首の先端に付いたまるで人間のような顔が、私の事を見下ろしている。
「キャァァァ!!」私は悲鳴を上げ、背中から後ろに転んだ。強い衝撃を受けたが、すぐに乱れた視点を生物に戻す。やはり奇妙でおぞましい姿をしている。倒れたままの体勢で肘を使って後ずさると、その不気味な生物は巨大な身体から長い足を伸ばして格子からのっそりと下り、私を品定めするかのように左右交互に首を傾けている。
落ち着いて、落ち着いて。大丈夫、何もしてこない。このまま後ずされば、もうすぐ扉にまで辿り着く。そう自分に言い聞かせ、なんとか平静を保った。
さらに少しずつ後ずさり続けると、ニチャッ、と何か液体のような物に肘が触れた。首はなるべく動かさないように、目だけを使って肘を突いた地面に視線を向けると、黒い水溜まりのような物があった。この粘り気。確か、ここは彼が立っていた場所。暗くてよく分からなかった為にさらに目を凝らすと、それは“黒”ではなく、“赤”だった。
血!?彼の、血!!?
一気に恐怖が私の全てを染め上げる。
「ヒィィィィ!!」私の悲鳴に、謎の生物がビクリと反応する。
さっきの生物は、彼に何かをしたの!?じゃあ、今私の目の前にいるこの生物も、私の事を…!?
私は仰向けの状態から身を翻し、手と膝を突き這い這いで逃げ出した。後ろに生物が近づいてくる足音が聞こえる。
このままでは捕まる!私は低い姿勢のまま腰を浮かせ、開かれていた扉からビルの中に一気に飛び込んだ。
が、右足首を掴まれ、凄まじい力で無理矢理ビルから引きずり出された。パキッと言う弱々しい音がし、足に激痛が走り全身に鋭い衝撃が駆け巡る。「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」喉が焼けるような絶叫が溢れる。すねの骨が折れた。意識が飛びそうになる。
生物は軽々と私を持ち上げ逆さ吊りにし、まるで弄ぶかのように、感情のない無表情で私の顔を覗き込む。その顔は、やはり人間そのものだった。だが、黒い瞳が無い。淀んだ白のような、或いは濁ったミルク色のような、何とも言えないくすんだ色の眼。
私は掴まれていないもう片方の足の靴の踵で、その生物の顔を思い切り蹴った。途端に生物は手を離し、私は堅い地面の上に放り出された。頭を地面に打ち付けてしまったが意識が飛ぶ事はなく、すぐに状態を起こす。やはり右足に凄まじい激痛が走る。堪らず短く悲鳴を上げる。
蹴られた顔面を両手で覆い、その姿に似合わぬキューキューと高く細い声を上げながら大きな身体をくねらせ悶絶している生物を目にし、逃げるならば今しかないと、折れた足を引きづりながらドアノブを掴んで急いでビルに入り、勢い良く扉を閉じ鍵を締めた。扉に付いた磨りガラスの向こうでは、まだ生物がもがいている。
とにかく逃げなくちゃ。信じがたい恐怖を体験した事で、先程まで死のうとしていた事など忘れてしまった。
階段を一段、また一段と下りる度に、激しい痛みが襲う。
あの生物は、一体何?人間のような、猿のような…。あんなモノがこの都会に生息しているなんて…。
彼は?彼はどうなったの?彼は宙を舞い、もう一体の生物に連れ去られてしまった?あの血溜まり。彼が無事ならば良いのだけれど…。
階段を下りながらも、屋上の方に注意を払う。生物が追ってくる様子はない。やっとの思いで階段を下り切り、助けを求めて大声で叫んだ。
「誰か!誰かいませんか!!?」
少しの間叫び続けると、階段の下の方から「どうかしましたかー!?」と言う男性の声がした。
「助けて下さい!変な生物に…、いや、あの、足が折れて動けないんです!!」
あの生物の事を言っても、誰が信じてくれるだろうか。それに彼を捜しに行きたいが、独りではこれ以上動けそうもない。とりあえず、今は助けが必要だ。
駆けつけたのは、このビルに常駐している若い警備員だった。華奢で頼りなさげなまだ二十歳前後に見える警備員は、私の姿を見るなり「どうしたんですか!?頭から血ィ出てますよ!」と慌てふためき、私以上に冷静さを失っている。先ほど頭を打った時に傷を負ったのだろう。手をやると、確かに指先には温かく赤い液体が付着した。
「とりあえず、救急車を呼んで下さい。それと、ここは危ないです。私の会社のオフィスまで連れていって下さい。誰もいないけど、入れるかも」そう告げると、警備員は「わ、分かりました!」と携帯電話を取りだし、まごついた口調で119番に連絡を取ってくれた。そして今度は私をどうやってオフィスまで連れていこうかを悩んでいたので、「おんぶ、できますか?」と訊ねると、「は、はい」と言い、私を負ぶってふらつきながらも、時間を掛けてオフィスまで運んでくれた。不用心だが、期待通り鍵は開いていた。
「では、ここで安静にしていてください。僕は一度警備室に戻り、警備会社の本部と連絡を取ってきます」警備員は息を切らしそう言って、私を置き去りにし行ってしまった。
私は再び一人になり、誰もいないオフィスの奥にある、“彼”のデスクへと向かった。足の痛みを堪え、デスクの前に立ち、彼が座っている姿を想像する。奥さんと子供が写った写真を、そっと伏せる。
今までする事が出来なかった事。オフィスチェア、ビジネスバッグ、万年筆など、彼の所有物に指先で触れてみる。胸とお腹の辺りが熱くなり、想いが込み上げる。
アナタに、触れたい─────
涙が溢れ、彼のデスクにすがるように、膝から崩れて泣いた。
すると、カツンッ、カツンカツンと、小さく堅い何かがぶつかり合う音が聞こえた。
私の他に、誰かいるのかしら?もしかして、彼が戻っているのでは?思わず名前を呼んだ。しかし、返事はない。
それでもカツンカツンと言う音は鳴り続けている。そして、私のすぐ後ろでもカツンと鳴った。咄嗟に振り返る。
音の正体はオフィスの中では無く、その外。窓の外側にあった。そこには、先ほどの不気味な生物が何体もへばりついており、窓の上を這っていた。動く度に鋭い爪が窓に当たり、カツンと音を立てている。
「キャァァァァ!!」私はまた悲鳴を上げ、慌てて彼のデスクから、窓の傍から離れた。既に姿を見られ今更無駄かも知れないが、室内灯の明かりを全て消し、窓から一番離れたデスクの影に身を隠した。
バンッ!バンッ!一体が窓を叩き始めると、それに呼応するように全員で叩き始めた。
凄まじい数の打撃音がオフィスに響き渡る。
私は両手で耳を覆い、膝を折って出来るだけ小さく身体を縮めた。「やめて!」心の中で叫ぶ。目を閉じ、ひたすら収まるのを待つ。
しばらくすると、徐々に打撃音は収まっていった。
完全に静まり返ると、窓の外が気になり、ほんの少しデスクの影から顔を出し様子を伺った。生物はさらにその数を増やしており、窓全体を覆い尽くし、感情のない人間のような顔で中を覗き込んでいる。黒い瞳の無い眼が怪しく光を反射し、その姿をよりおぞましい物にしている。
その人間のような顔を一つ一つ、ゆっくりと見ていく。老人の顔、中年の顔、若い女性や男性の顔、いろんな顔がある。
そして私は眼を疑った。それらの中に“彼”の顔を発見してしまった。先ほど生物に連れ去られた彼が、今はその生物に姿を変え、すぐそこにいる。瞳が無いだけで、顔は彼そのものだ。そして、無表情だった生物達の中、唯一彼の顔をしたモノだけが、ほんの少しだけ笑っているように見える。
そう、あの優しい笑顔を、薄らと浮かべている。
どうして!?どうしてアナタはそんな姿で…。
思わずデスクに手を掛け立ち上がる。彼の顔から目が離せない。自然と涙が溢れ出る。もっと、もっと近くでその顔が見たい。
危険を承知で窓に向かい、足を進める。
少し古い作りのこのビルの窓ははめ殺しではなく、鍵を開ければ解放できる。そして、窓を開ければ、彼の顔に触れる事が出来るかも知れない。
触れたい。アナタに触れたい。
窓際の棚の上に乗り、フック型の鍵に指を掛けた。
すると、警備員が救急隊員を連れ、「お待たせしました!」と張りのある声を上げ、やって来た。
しかし私の姿を見るなり、警備員は「ちょっと、そんな所で何やってるんですか!?」と叫んだ。私は一瞬キョトンとし、鍵に掛けた指を止める。
何をやっている?もっと驚くべき事があるでしょ?まるで彼には私しか見えていない様子だ。この窓の向こうにいる、今私の目の前にいるこの生物達が、目に映らないの?
でも、そんな事はどうでも良い。私は指にグッと力を込め、そのまま鍵を下ろした。そして窓をゆっくり開ける。少し冷たくなった空気が流れ込み、私の髪を揺らす。
「危ない!」「下りなさい!」警備員と救急隊員達が叫ぶ。慌てて駆け寄る足音も聞こえる。
でも、ホラ、彼はこんなに優しい顔で、私に手を差し伸べているのよ。今、彼は私を求めてくれている。
まるで奇跡。あぁ、涙が止まらない。
もうすぐ、アナタに触れる事が出来る。瞬きをする程の間も待てない。
もし、私の血の一滴までも、アナタが望むなら…。
幾つもの手が一斉に伸びる。
私は、彼と、複数の生物達と共に、灰色の森の上を舞った。
この怖い話はどうでしたか?
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