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長編

登山者の体験

匿名 4日前
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テントが靡いているのかと思った。風が強いのだろうか? いや、さっき起きて外に出たときには止んでいたはずだ……。 A君は寝袋から抜け出して、またテントの外に出た。 風はなかった。 あたりを見回してみたが、板切れやゴミなど、テントにぶつかるようなものもない。 「おかしいなあ、気のせいかなぁ……」 再び寝袋に入り、うとうとっと来た時だった。……ガサガサガサ……また音がする。 さっきより大きい。 ―牛だろうか?いや、牛は高電圧の柵の中から出られないはずだから、ここまでやってくるはずはない― 暗闇の中でぱっちりと両目を開いたまま、A君は奇妙な音に耳を澄ました。 ……ガサガサガサッガサガサッ…… よく聞いてみると、テントの表面に何かが触る、というか、当たっているような音だ。 「まてよ……そうか、きっとそうだ!」 A君は、急に低い山ではシーズンになると、時々テント荒らしが出没することを思い出した。―そうに違いない― 「何してるんだっ‼」 虚を衝こうと大声で怒鳴りながら、またテントの外へ転げ出た。 A君は、体格もよく一応柔道は二段である。 テント荒らしの一人や二人、の・す・ だけの自信はあった。……が、 「あれえ???」 キョロキョロと探し回ってみたが、やはり誰もいない。 牛もいない。 風もない。 仕方なしに懐中電灯を手に、首をひねりながらテントの中に入ってから、1秒も経っていない時、 ……ガサガッ……ガサッガサガサガサ…… また音がした。さっきより遠慮のないしつこい音だった。 今度は、懐中電灯を点けたままでテントの中が明るくなっていたため、A君は反射的に音のする方を見たわけだが……。 「それが、テントの斜めに張ってある布の部分が、外から押されて、ガサッガサッ、と音をさせながら確かに飛び出てくるものがわかるんですよ」 テントの片側は岩肌、片側は道である。 音を立てながら何かが凸型に飛び出てくるのは、岩肌側のテントの布だった。 「?…」 懐中電灯で、音のするその箇所をさらに大きく明るく照らし、もう一度よく見ると……。 ……ガサッ…… 「あっ!」 それは握り拳を作った、人間の4本の指の関節だった。 音がするたび、握り拳の形が布の向こうからくっきりと浮かび出てくるのだ。 ―やっぱり泥棒じゃないか― 「コラー‼」 正体を確信したA君は、ありったけの声を張り上げながら、今度はいきなり、その拳が見えたテントの岩肌側に走って出た。 けれど、

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  • どこの山? 鹿児島のS山で似た体験をしました
    霊子
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