
冬休みのある夕暮れ、公園の遊具で遊んでいた中学生の僕は、見慣れない猫小屋の方に目を向けた。そこには、白いセーターを着た女の子がじっとこっちを見ている。
最初は気にしなかったが、彼女の視線が不気味に感じて、何度も振り返ることになった。周りで友達が遊ぶ声が賑やかで、彼女の存在はまるでその喧騒の中の異物のようだった。次第に、彼女が猫小屋の中で何かをしているのが見えたが、何をしているのかは分からなかった。
日が沈みかけ、薄暗くなってきた頃、僕は遊びを終え、帰る準備を始めた。すると、再び彼女が猫小屋の前に立っているのに気が付いた。今度は何か言っているようだったが、声は聞こえなかった。
近づいていくと、彼女の顔に異変があることに気がついた。顔の左半分が異常にへこんでいて、目はなく、髪はボサボサに乱れていた。「大丈夫?」と声をかけると、彼女は口をパクパクさせ、何か訴えかけてきた。
その時、背後から友達の声が聞こえ、振り向くと彼らが楽しそうに話していた。再び彼女に目を戻すと、彼女は動かず、冷たい手を伸ばしてきた。その冷たさに驚いて声を上げると、友達たちが振り返り、僕の顔が青ざめたことに気が付いた。
急いで友達に事情を説明しようとすると、僕は公園の管理人に呼ばれた。彼は落ち着いた声で、「あの子はもうここにはいないんだよ。冬休みになると、ここには来ることができないのさ」と言った。驚く僕に、管理人は続けた。「彼女は数年前にここで事故に遭って、もうこの世にはいないんだ。だから、彼女を見た時は帰りなさい。」
帰宅後、僕はあの子のことを考えた。彼女が可哀想で仕方なかった。冬の間、何度も公園に足を運んだが、彼女の姿を見かけることは二度となかった。あの冷たい手の感触は、今でも忘れられない。彼女は本当に何を伝えたかったのだろうか。僕はそのことを考え続けた。
しかし、あの冷たい手が、決して忘れられないことを知っている。彼女の存在は、僕の心に深く刻まれているから。
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