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金縛りの後に
中編

金縛りの後に

だぁ。 2016年5月9日
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僕が中学生の頃の話です。 当時から幽霊やUFOなどのテレビ番組が大好きで、ビビりながらも見てしまうタイプでした。 家族4人で、集合住宅のようなところに住んでいて、たしかA棟の402号室だったのを覚えています。 僕は年頃という事もあり、狭い家でしたが1人部屋をもらっていました。 その日は特番で心霊番組をやっていて、家族4人で見ていました。 「しょーもないのぉ」と親父が言っていましたが、僕はビビりっぱなしでした。 確かに子供でも、これはやらせだなとわかるやつもあったのですが、 記憶が曖昧なんですが、赤い女の人の投稿映像が何故か気になりました。 一般の人から投稿された映像で、 カップルがデートで滝?みたいなところで楽しそうにビデオ回してると、赤い服着た女の人が橋の上に立ってる、みたいな感じだったと思います。 番組も終わり、お風呂をビクビクしながら済ませ、早く寝なさいと怒られながら布団に入ったのは11時を回ってました。 布団に入ってからも、中々寝付けず、 漫画を読んだり妄想したりしながら、 意識が段々うすーくなってもう寝るなって時に、何故か赤い女を思い出しました。 「あれ本物かな」 次の瞬間、目が開いてました。 あれ?なんだ? 気付けば、身体が動かない。 一気に血の気が引きました。 「金縛りだ」 初めての経験だったので、必死に動かそうとしますが、指がかすかに動く程度で顔も動かせません。 悶えていると、かすかに声が聞こえてきます。女の人の声です。誰かと話をしています。 もう気が気じゃありません。 目を閉じたいですが、閉じて次開けたら、目の前に“それ”がいる気がして、天井を凝視したまま動けません。 その声は、ベランダの外から聞こえます。 ここは4階です。 そして、その声は段々近づいてきました。 ベランダから部屋の中へ。 そして、それは僕の枕元まで来ました。 女と、女の子が話をする声です。 何故か親子なんだなとわかりました。 母親が、なにかを怒鳴っていて、女の子は泣きながらなにかを言っています。 もう耳元まできて、ものすごい音量で聞こえるのですが、なにを言ってるのかがわかりません。 僕は耐えきれなくなり、目をつむって、 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいと必死に唱えました。 時間にしたら5分、10分だと思いますが、果てしなく長く感じました。 ふっと軽くなった感じがして、気付いたら金縛りはとけてました。 僕は汗だくになっていて、とにかく怖くて、 とりあえず母親のとこにいこうと部屋の障子を勢いよく開けると、 そこには見た事ない女が僕を見下ろしていました。 僕は声も出せずに失神していたようで、母親に起されたのは朝の7時頃でした。 昨日の出来事を話すと、 「そんな馬鹿な事あるか!寝ぼけてただけよ」 と相手にもされませんでした。 それからしばらくは、本当に怯えながら過ごしたのを覚えてます。 中学を卒業する時期に、親父の仕事で引っ越す事になりました。 その頃には、金縛りの事など忘れていました。 荷物を全てトラックに積み込み、新しい家に向かっている車中の中で、母親が言いました。 「あんた、昔金縛りあったって言ってなかった?」 「あぁ、そいやあった!めちゃくちゃ怖かったんだぞ!女と女の子の声がして!」 「黙ってたんだけど、実はあの部屋で、母親とその子供が死んでるんだって。 原因はわかんないんだけど、もしかしたら、その親子だったのかもね」 「…」

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