
私は霊安室で働く若手看護師でした。霊安室には様々な理由で亡くなった方々が運ばれてきます。病気や事故に加え、自殺や犯罪の犠牲者も含まれていました。
ある冬の夜、静まり返った霊安室で仕事をしていると、ふと目の前に安置された棺が気になりました。棺の上には強化ガラスがはめ込まれ、亡くなった方の顔が見えるようになっています。
その時、何かが私の心を捉えました。棺の中はやけに冷たく、明らかに異常な感覚が漂っていました。思わず温度計を確認すると、通常の温度を大きく下回っていました。
その瞬間、背後で微かに聞こえた声に驚きました。
「ここにいるぞ、助けてくれ…」
驚いて振り返ると、誰もいませんでした。胸が締め付けられる思いで再び棺を見つめると、その中の遺体が徐々に動き出しているように見えました。
「お願い、あの世に行きたい…」
私は動けずにその光景を見つめることしかできませんでした。遺体の表情は苦痛に満ち、まるで訴えかけているようでした。すると、同僚の医師が近づいてきて、冷静に言いました。
「この方は、救えなかった人だからな。彼の声を無視するな。」
その言葉にハッとしました。私はこの世に留まることを望んでいた亡者の声を聞いていたのです。彼らの苦しみを理解することなく、ただの仕事として受け入れていた自分に恐怖を抱きました。そして、私はその夜から霊安室にいる全ての亡者の存在を意識せざるを得なくなったのです。やがて、彼らの声は私の耳から離れることはありませんでした。彼らは永遠に私を見つめ続けているのです。
「どうやら、もう帰らないといけないようだ。」
その言葉が、私の心に重くのしかかりました。彼らの叫びは、私の記憶の中で永遠に生き続けるのです。
そして、私はその晩、決して眠ることができませんでした。彼らの声が、私を呼んでいるのです。
「助けてくれ」と。
それから、私の仕事はいつも暗く、静かな恐怖に包まれていました。
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