
短編
宅配便
匿名 2日前
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小学生のころ友達から聞いた話です。
あるところに二人の兄弟がいた。二人は毎年夏休みになると両親に連れられて祖父母の住む田舎に帰省することになっており、その夏も一家で帰省する予定だった。ところが、父親が急に仕事が入ってしまい、帰省はやむなく取りやめになった。忙しそうな両親を見ると何も言えなかったが、兄弟は内心ひどくがっかりしていた。「なあ、俺達だけでこっそり行っちゃおうか。」「だめだよ、にいちゃんおかねないじゃん。」「いや、...そんなにお金なくても行けるかもしれないぞ」兄は、弟を宅急便で田舎まで送ってやろうと考えたのである。兄弟は両親の目を盗んで着々と準備を進め、とうとう出発の日が来た。「兄ちゃん、ほんとうにぼくがさきにいっていいの?」「いいんだよ。お前のほうが小さいからばれにくいし、お前が着いたって分かれば、俺のことも行かしてくれると思う。」
弟は笑った。
夜になり、母親が帰ってきた。「あれ、あんた一人?」「うん、あいつは遊びに行っちゃった。」「え、ちょっと待って。もう8時じゃない。」母親は血相を変えて電話機があるリビングへとんでいった。そんなに心配することないのになあと思ったが、兄も、一応祖母の家に電話をすることにした。速達で出したから、早ければもう届いているはずだ。「もしもし、ばあちゃん?」「あら、久しぶり、どうしたの。」なんだ、まだついていないのか。適当にごまかして電話を切った。大丈夫、明日にはきっとつくはずだ。ところが、二日たっても、三日たっても、弟からの連絡はなかった。兄は、仕方なく両親にすべてを話した。出発当日に撮った写真など、全ての物が直ちに警察に送られた。数日後、警察から電話があった。「・・・もしもし?」「警察のものですが。普通、こういうことはあまりお伝えしないんですが、弟さんと段ボール箱が写った写真がありましたね。それを拡大してみたら、段ボール箱に書いてある住所が少し間違えてるんですよ。一応、その住所を調べてみました。今はもう空き家になってます。持ち主は女性でした。...10年前に子供を亡くしたとかで自殺したそうです。」
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- 優しいお兄ちゃんだたか