
福岡の片隅にある、誰も訪れない地下道がある。その名も「忘れられた地下道」。昔、ここで命を落とした者の噂が絶えず、特に冬の寒い夜になると、霊のさまよう声が聞こえるといわれている。友達との肝試しで、私たちはその地下道に足を踏み入れた。
最初は冗談交じりに笑い合いながら進んでいたが、薄暗い通路に差し込む光のない闇は、徐々に私たちの心を重くしていった。突然、友人の一人が「何か血の跡がある!」と叫んだ。そこには、まるで誰かが引きずられたような赤黒い跡が続いていた。
私たちの心臓は、恐怖で早鐘のように打ち始めた。それでも、好奇心が勝り、私たちはその跡を辿ることにした。しかし、進むにつれて、周囲の空気がどんどん冷たくなり、息をするのも苦しくなってきた。すると、背後から「助けて…」という声が聞こえた。振り返ると、誰もいないはずのその場所に、ぼんやりとした人影が見えた。
パニックになりながら出口を目指したが、方向感覚を失い、どんどん深みにはまっていく。恐怖に駆られた私たちは、声を上げて叫び続けた。すると、突然、友人の一人がいなくなった。彼の叫び声が響いた後、静寂が訪れた。まるで、その地下道が彼を飲み込んでしまったかのように。私たちは必死に出口を探したが、どこに行っても同じ場所に戻されるような感覚に襲われた。
結局、私たちが外に出たとき、そこには空っぽの地下道だけが残されていた。友人は見つからず、ただ血の跡だけが、彼が消えた証のように続いていた。後日、私たちはその場所に行くことができなくなった。幽霊に喰われた友人は、今もどこかで彷徨っているのだろう。私たちが知っているのは、幽霊に食われた者がどんなに良い人でも、決して帰ることはないということだけだった。実際、消えた友人の名前を呼んでも、返事は返ってこなかった。私たちは、恐怖の中で彼を失ったのだ。私たちが経験したのは、ただの肝試しではなく、恐怖そのものだった。
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