
中編
持たされたもの
やー 2019年10月27日
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この話は実際にあった実話である。
私は子供の頃から 俗に言う霊感というものがありました。
テレビで良くやっている はっきりと見える霊媒師のような霊感ではなく
気配や頭の中に 見せられる そういった類の霊感である。
友人との電話中に ふいに 頭の中に見えたりする。
おそらく、友人のそばにいる何者かが 私へメッセージを送っているのだろう。
電話中、女性らしき人の口元が見える 何かを話している よく見ると
「みてあげて」だか「いてあげて」声は聴こえない そこまで霊感は強くない。
それを電話中の友人に伝えると 友人の子供は熱を出していた。
私が見たのは 友人の家族を守っていた方なんだろう。
そんな体験をする事は 日常茶飯事だった。
今回の話も そんな日常の中で体験した実話である。
ある日夜中に寝ていると 夢の中で嫌な空気を感じた。
良くない事が起きる前兆みたいな その空気の夢は しばしば見ることがある。
朝になり、母親から電話がかかってきた。
母親は高齢で一人暮らしをしている。
母親が言うには 気味の悪い夢を見たと・・・。
長い石の階段の上、誰かが母親に産まれたての子供を抱かせたという。
そして、母親は、その子供を落とさないよう大事に抱え ゆっくりと階段を
降りて行く。しかし、階段はどこまでも続き、段々子供は重くなっているように思える。
しかし、産まれたての子供を落とす訳には行かず、苦しみながらも子供をしっかりと抱きしめ
階段を下りていく・・・・。
そこで目が覚めたという。
しかし、体が何故か重く疲れていると・・・。
母親は私が霊感がある事を信じているので、何か悪いものが憑いていないか見て欲しいと言う。
電話で話を聞いていた時、既に私の頭の中には嫌な物を感じていた。
しかし、子供を抱かされたと言う話には あまりいけないイメージはなかったので
とにかく、母親を安心させるために、すぐに母親の元へと向かった。
母親に会った瞬間、それは 私の頭の中へ入ってきた。
石の階段の上、母親に赤ん坊を抱かせる影
それを見ている私。
母親は赤ん坊を落とさないようにと ゆっくり、しっかり、赤ん坊を抱いて
石段を1段、1段、ゆっくりと下りていく。
その石段の合間に 見慣れた人が浮かんでいる 母親の知り合い達である。
私は母親に近づいて、その赤ん坊を変わりに抱いてあげようとした。
そして、赤ん坊を見た。
それは 赤ん坊ではなく何かの塊であった。
塊からは、悪い気配が凄まじく漂っている。
怨霊、悪霊、邪悪な物 その類に間違いはないだろう。
しかし、母親は 赤ん坊だと思い大事に抱き抱え落とさないように
必死に石段をゆっくり、1段、1段、下りていく。
白昼夢のよう状態から我に帰った。
全身から危険を感じた。
母親から、その塊を離れさせないといけない。
私は母親の背中をさすり 手のひらに気を集中させ
その塊を母親から剥がした。
霊媒師ではないので お祓いや成仏供養などは出来ないが
離れさせる事は出来る。
黒い塊は離れて行ったが、母には悪い気が残った。
母親は何者かに 惡いもの を運ばされようとしていたのだ。
途中で捨てられないように 赤ん坊の姿に見せて。
母親は私がそれを伝えるまで、夢の中で抱き抱えていたものを
赤ん坊だと信じきっていた。
赤ん坊だと思い、大事に落とさないように誰かに渡そうと。
誰かに渡していれば その人は災いに見舞われただろう。
こんな事があった翌日の事。
母親の自宅の隣人が孤独死で発見された。
死後3週間以上経っていたらしい。
道が開いていたんだろうと私は察した。
母親が赤ん坊だと思い大事に抱き抱えていたもの。
母親とは何かが合わず、他の誰かの元へと運ばせようとした。
「持たされたもの」
その正体は一体何だったのだろうか・・・。
母親の自宅の隣人が亡くなって
母親の元へと運ばれたのだろうか。
そうして 何人もの元へ運ばれ
死を招いて行くのだろうか。
後日談:
- 父親の曾祖母が昔、拝み屋だったらしいです。 「自分の後を継いでくれる女の子は3代先まで産まれない」 その3代先の女の子が私だったそうです。
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