
これは俺が先月体験した不気味な出来事だ。
深夜のシフトを終えた俺は、無性に何かを食べたくなり、近くのラーメン屋で一杯食べてから帰宅した。外は寒く、冷たい風が頬を刺す。夜中の2時頃、マンションの廊下は静まり返っていた。
俺の部屋は高層マンションの9階にあり、向かいの部屋には年齢不詳の女性が住んでいる。彼女は普段からカーテンを開けっぱなしにしていることが多く、何度か無意識に目が行ってしまうことがあった。
その夜、俺はふと気になって、カメラを使って彼女の部屋をこっそり覗いてみることにした。望遠レンズを使って彼女の動きを捉えようとしたが、いつもと違って、彼女は何もしていない。ただじっと座って、何かをじっと見つめていた。
「なんだ、またテレビでも見てるのかな」と思いながら、レンズを通して彼女を観察していると、彼女が急にこちらに顔を向けた。目が見開かれ、まるで何かを注意深く見ているかのようだった。俺はドキリとし、心臓が早鐘を打ち始める。
その瞬間、彼女が口を動かし始めた。声は聞こえなかったが、彼女の唇が動くのが見えた。『見ないで』と言っているようにも見えた。驚いてカメラを落とし、急いで布団に潜り込んだ。身体が震え、冷や汗が背中を流れる。
「彼女に気づかれてしまったのか…?」自問自答しながら、俺は布団の中でじっとしていた。20分ほど経った後、恐る恐る顔を出し、彼女の部屋を再度見てみた。しかし、カーテンは完全に閉じられていた。
それ以降、彼女の部屋のカーテンは一度も開くことはなかった。彼女の正体は何だったのか、今もあの部屋に住んでいるのか、俺の存在に気づいていたのか、すべてが謎のままだ。
ただ、今思い返すと、彼女が言っていたのは『見ないで』ではなかった可能性もある。もしかしたら、『みうら』…?
三浦さんだったのかもしれない。自己紹介してくれたのだろうか。そんな考えを巡らせながら、俺は今日も空腹を抱えて帰路につく。ラーメンの香りが、どこか切ない気持ちを呼び起こす。
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