
中編
サンタさんへの手紙
けいすけ 2017年12月24日
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このお話は私が16歳のクリスマスの夜に体験した不思議な出来事です。
小さな頃から私はサンタさんを信じていました。
これを言うと、笑われてしまいますが…。
世間はクリスマスとお正月で賑やかなムード。
「今日はクリスマスだね。何を作ろうかね。」
「チキンライスはとりあえず作ろうかね。」
「それか、栞…去年と同じくカキフライパーティーしようか。」
「祖母ちゃん…カキフライ100個地獄でしょ。」
「去年は栞とばあちゃんでカキフライ作ったのよね。」
などとほのぼのと祖母と母と珈琲を飲んでいました。
その時です。
ニュースから虐待に関する悲しいニュースが流れました。
前の年に、児童自立支援施設にいた時に弟と同い年の男の子が笑顔とは裏腹に私に話してくれた自身がこの世に生まれ落ちた直後に母親からされた余りにも酷い仕打ちを受けた過去の話を思い出してしまいました。
まだ年若いながらも命の重さは知りました。
この手のニュースは未だに怒りを覚えて涙がでます。
そこへ、眠い目を擦りながら起きてきた11歳の末の弟が起きてきました。
寝惚け顔の可愛い顔と後輩の可愛い笑顔が重なった。
弟へのクリスマスプレゼントは安い中古のゲームソフトとブーツのお菓子。
普段はひねくれ坊主も喜んでくれた。
私へはお小遣いがクリスマスプレゼント。
そして…。
私は寝る前にサンタさんへ手紙を書きました。
自分へのプレゼントはもう16歳になったので充分なこと、素敵なプレゼントの御礼と、図々しいながらもあるお願いとを…。
私は既に本当に必要な宝物と幸せを持っているからプレゼントは充分。
子供を虐げる大人達とは真逆の大人達の元に産まれてこれたのがどれ程幸せなことか…。
「私なんか生まなければ良かった。」
そんな最低なセリフを吐いた馬鹿娘でも見捨てないでくれた。
「お菓子我慢したのはダイエットじゃないでしょ。」
「ちゃんとわかってたよ。」
「栞は優しいお姉ちゃんだな。」
だなんて、コッソリお小遣いを沢山くれるような大人の人達が周りにいるのはどれ程幸せなことか。
それに気付いたので、私は既に幸せだから…プレゼントは私の分を弟や心無い大人達に傷つけられた子供達に渡してほしいことを書いた。
プレゼントと、私にこれから訪れる幸せをお裾分け。
そんな手紙と受け取って貰えるか分からないが、ミカンとサンタさんが風邪を引かないようにホッカイロを枕元へ。
手紙は…祖母に見られていました。
「栞はそのままでいてね。」
…優しい笑顔で言われました。
1人顔から火を出す私でした。
そんな私に不思議な出来事が起きたのはその夜。
布団に入ると、真っ暗な部屋と障子を照らすように綺麗な光が夜空から届きました。
「何?今の…。」
「サンタさんじゃないかい?」
そんな会話を祖母と交わし、私は寝てしまいました。
そして、不思議な夢を見ました。
シャンシャンシャン…と、綺麗な鈴の音と寝る前に見た不思議な光と共に白く長いひげので赤い服を着たおじいさんが居ました。
袋を抱えてメモを見ていました。
枕元の手紙に気が付いて、読んでいました。
おじいさんの目から一筋の涙が。
涙が手紙に溢れていました。
枕元においたミカンとホッカイロを手に受け取ってくれて眠る私に有り難うと一言。
おじいさんはプレゼントの変わりに、私の頭を優しく撫でてくれて…優しい手からは綺麗な光が出ていました。
おじいさんは姿をけし、鈴の音と共に帰りました。
目が覚めたら鈴の音がしていました。
ミカンとホッカイロがなくなっていました。
受け取って貰えたのかと嬉しかった。
次の日の朝に手紙は残されていましたが、涙のようなものが字を滲ませていました。
あれは…只の夢ではないのかも。
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