
これは、私が友人Rから聞いた話だ。
友人Rは、父親の転勤の影響で、数年ごとに学校を変えていた。中学三年生の冬、彼は新しい高校に転校したばかりだった。
その高校は、まだ歴史が浅く、友人Rは第5期の卒業生となる。新設の校舎は、とても清潔で、友人Rはその環境を気に入っていた。放課後、校内を散歩するうちに、彼は奇妙なことに気づいた。
卒業生から寄贈された品々が校内に飾られているが、第一期卒業生の寄贈品だけが見当たらないのだ。友人Rは少し不安になり、同級生に問いかけた。
「第一期卒業生の寄贈品はどこにあるの?」
すると同級生は、困ったように首を振りながら言った。「実は第一期の卒業生は、卒業式を迎える前に皆、姿を消してしまったんだって。」
「姿を消すって、どういうこと?」
「詳しいことはわからないけど、そういう話を聞いたことがある。だから、寄贈品もないんだろうね。」
同級生は、声を潜めて続けた。「この話を詳しく聞くと、その話をした人も聞いた人もいなくなるらしいよ。」
友人Rは、その言葉に驚き、これ以上は聞かないことにした。しかし、翌日、同級生から一通の手紙が届いた。手紙にはこう書かれていた。
『第一期の卒業生たちは、卒業式の日に屋上から飛び降りたんだ。だから、屋上を見てはいけないよ。』
この手紙は、友人Rが口に出して話をしないようにとの警告だったに違いない。そして、彼は口に出すことはなかったが、その話を『見た』ことは確かだ。
卒業式の日、友人Rが校舎をバックに撮った写真には、何かが空から落ちてくるような影が映り込んでいた。消えた卒業生たちは、死後も卒業式の日になると、屋上から飛び降り続けているのだろうか。
その話が真実なのか、ただの噂なのか、友人Rは今でも疑問に思っている。しかし、その写真がある限り、彼はその話が嘘だとは思えないと言っていた。彼の目には、確かに何かが映っていたのだから。
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