
長編
ダサ子さん
きき 3日前
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島さんが「営業部俺で最後だから」と行って帰ったのが一時間ほど前。
2階はプレス(広報部)。あいつらは大体定時で帰るから居ない。はず。
1階は倉庫。そもそも人が居ない。はず。
社内には俺ら二人だけ。
手順をおさらい。
1階まで降りたらSE〇OMに電話して遠隔ロック。これで終了。
落ち着いて行動すれば3分程度で終わる。
大丈夫。
「押さない」「駆けない」「喋らない」の3原則を胸に、Aちゃんとゆっくり階段を降り始める。
4階からも電話の音がする。が、気にしない。
まだ慌てる時間じゃない。
2階を通過。の際に誰も居ないフロアから電話音と足音。
「ひっ…」
Aちゃんが叫びそうになるが堪える。
俺は「置いてけ」「構うな」「仕方ない」の3原則が胸をよぎるが我慢。
二人でゆっくり階段を降りる。
ようやく1階に到着。自動ドアが開き外へ。
梅雨明け宣言したばかりの不快な湿度でも嬉しい。
生還した。
喉元過ぎればなんとやら、明日出社したら皆に語ってやろう。なんて言いながらSECO〇に電話する。
「もしもし、〇〇の俺ですが遠隔ロックお願いします。」
「はい、〇〇の俺さんですね。社員番号と電話番号をお願いします。」
「はい、社員番号〇〇で電話番号〇〇です。」
「確認しました。それではロックします。建物内には誰もいらっしゃっいませんか?」
「はい」
「それでは警備を開始します。」
その瞬間
バァン!!!!
目の前の自動ドアが内側から全力で叩かれた。
曇りガラスには手のひらが張り付いていたのがはっきり見えた。その奥にうっすらと白いシルエット。
ダサ子さんだ…
ピーッ!ピーッ!ピーッ!
「異常を感知しました」
機械から流れる警報音が響く。
「どっ、どうしましたか?!残ってる人が居たんですか?全フロアで異常発報してますが?!」
SECO〇の担当者が慌てている。
俺とAちゃんは声も出せずにただ見ていた。
警報の電子音が響くなか、曇りガラスに張り付いた手のひらがゆっくりと消え、またガラスに叩き付けられるのを。
バァン!!!
バァン!!!
バァン!!!
何度も狂ったように叩かれるドア。
いつの間にか警報音は止み、電話からSECO〇の声がする。
「もしもし!俺さん?聞こえてますか?今、一旦警備を解除しました。担当者を現場へ向かわせますので到着までその場でお待ち下さい。」
「ああ…はい…」
「何が起き
後日談:
- 大したことじゃないけど一応追記。 男にはダサ子、女にはオンジュ、ならあいつは? ということでプレスにいるオカマに聞きにいったところ「両方見たことない。そもそも幽霊を信じてない」と吐かしたので、よってたかって「なんのためのオカマだ」「もうオカマ辞めろ」「親孝行しろ」などと罵詈雑言を浴びせていたらしまいには泣かしてしまった。 本人曰く「オカマは繊細なのよっ!」だそうです。 後日人事部長からこっぴどくお叱りをうけました(こいつはゲイ)。 ちなみに人事部長はダサ子さんを見たことがあるそうです。
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