
長編
ダサ子さん
きき 3日前
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、あいつかあいつらか。ウチの会社では早く帰って飲んでる連中(主に役員系)が「△△で飲んでるから会社にいるやつら皆で来い」だとか「明日急にプレゼンやる事になったから準備しといて」などと巫山戯た事を言う連中が山程いた。今回もそのパターンだとAちゃんも察知したので、電波が悪くて聞こえなかったならこれ幸いと支度を急いでいると今度は俺の部署の電話が鳴った。(企画部とは別回線)
しつこい。かけてるやつは全部署にあたるつもりだ。無視しようかとも思ったが社畜の悲しい性かつい取ってしまった。
「はい〇〇です。」
Aちゃんの言ってた通り電波が悪いのか声が遠い。なにか喋っているというのは解るが内容が聞き取れない。周りも雑踏の中のように大勢の気配がありザワザワと五月蝿い。
切ろう、と思ったがふとナンバーディスプレイが目に入った。見ると案の定携帯電話からの発信だ。Aちゃんに社員の携帯番号の一覧を確認してもらおうと受話器を持ったまま口頭で番号を読み上げる。電話はまだ繋がってるけどまあいいや、ザワザワが続いててどうせ聞こえない。
「言うよー。09061…」
番号を最後まで言い終わらないうちに、
「俺さん!!切って!電話切って!!」
Aちゃんが叫んだ。慌てて電話を切る。
「ビックリしたー。どしたの?」
「その番号…私の携帯のです…」
「はえ?なら、Aちゃんの携帯は?」
「ここにあります…バッグの中…」
震える手で携帯を出すAちゃん。
ゾッとした。
このパターンはなかった。ダサ子さんもオンジュくんも見掛けるだけだったのだから、どちらからにせよ初めての向こうからのアプローチである。
なぜよりによって俺なのか?「払えない」札が三枚もデスクにあるからか?などの思いが渦巻いたがそれどころではない。
怖い。
尋常じゃなく怖い。
今まで無害だったものが突然仕掛けてくる。この恐怖がお解りいただけるだろうか?
害はないからと部屋で放置していたゴキブリが急に自分に向って飛んで来るかのような恐慌である。
Aちゃんと俺は何故か無言になり、アイコンタクトのもとお互い携帯の電源を切る。これまた何故か忍び足でフロアの出口に向かった。
今度は生産管理部の電話が鳴る。もちろん取らない。ディスプレイも見ない。
ドアを閉める。一息つく。ふぅー。一旦落ち着こう。
今いるここは3階(社屋は4階建て)。
4階の営業部にはだれも居ない。三沢光晴似のO
後日談:
- 大したことじゃないけど一応追記。 男にはダサ子、女にはオンジュ、ならあいつは? ということでプレスにいるオカマに聞きにいったところ「両方見たことない。そもそも幽霊を信じてない」と吐かしたので、よってたかって「なんのためのオカマだ」「もうオカマ辞めろ」「親孝行しろ」などと罵詈雑言を浴びせていたらしまいには泣かしてしまった。 本人曰く「オカマは繊細なのよっ!」だそうです。 後日人事部長からこっぴどくお叱りをうけました(こいつはゲイ)。 ちなみに人事部長はダサ子さんを見たことがあるそうです。
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