
長編
最後の乗客/タクシー霊の正体
匿名 2024年11月7日
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線バスの乗客だと言われる。
そのバスには20人ほどの乗客が乗っていたのだが、丁度N池横に差し掛かった時、対向車のN運送のトラックが、バスが走行している車線にはみ出してきて、正面衝突した。
その衝撃でバスは国道から約8m下のN池に転落、9人が溺死する惨事となった。その中にO短大を受験するために乗車していた二人の女子高生がいたという。
材木を運送していたトラックは転落を免れ、運転手は無事だった。居眠り運転だったという。
私は二人のO短大を受験予定だった女子高生に注目した。もしこの二人が本当にタクシー霊だったとしたら、タクシー霊の元祖だと言われてきた、京都の深泥池の霊よりも古いため、本当のタクシー霊の元祖となる。因みに深泥池の霊の最初の出没日は昭和44年10月6日。
そこで溺死した9人の乗客の中に本当に二人の女子高生がいたのか否かを確かめることにした。それには、当時の新聞を県立図書館で確認すればいいのだが、図書館はO市の中心市街地にあり、且つ、窓口で必要事項を用紙に記入する必要があるため、やや手間がかかる。
手っ取り早いのは、池畔に遺族が建立したY地蔵横の慰霊碑を確認すること。それには9人の氏名が享年と共に刻字されている。そこに18歳の二人の女性の名があれば、その二人がタクシー霊ということになる。
午前6時台後半に二人はバスに乗車したものと思われるが、この時間帯は通常の通学時間よりも早いため、高校生の乗客は少ないものと睨んでいた。
ネットには池の名称は出ていなかったが、地区名と池の規模(縦50m、横60m)を頼りに住宅地図を調べるとN池以外にはない、という結論に至った。
ネットで地蔵と慰霊碑について挙げているのは一件のみ。碑の背後は竹藪だった。そこでグーグルストリートビューで確認すると、池の南西隅の竹藪に向かう歩道があった。
次の週末、T市に向かったのだが、まず同市のUFO事件現場を確認して、背後の山に登ったため、N池に到着したのが夕方になってしまった。
その日、天気予報では夕方から雲が多くなり、夜、天候が崩れる、ということだったが、国道から池への階段を下りる頃には、厚く、やや暗い雲に覆われていた。
夏のこの雰囲気は嫌な気分がする。と、いうのは、前述ののっぺらぼうを目撃した時も同様の天候だったから。生まれて初めての心霊体験だっただけに、強烈な印象が残っている。
ストリートビューで確認した歩道の先の
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