
中編
お葬式
匿名 2016年6月12日
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全く怖くないと思いますが霊感も何もない私が体験した不思議な話です。
私のひいおじいちゃんはとても優しくて家族や親戚みんなひいおじいちゃんが大好きでしたがひいおばあちゃんはとても嫌われていました。
ひいおばあちゃんはすぐ理不尽なことで怒ったりいたずらをしたりするのが大好きだったらしいので嫌われても仕方がなかったそうです。
その中でもひいおばあちゃんは特にひいおじいちゃんに厳しくしていたらしいです。
でも私が産まれる前からひいおばあちゃんは少しボケていたらしくそのせいか優しい人になっていたので私はひいおばあちゃんのことは好きでした。
そんなある日、ひいおじいちゃんが老衰で亡くなりました。
みんなとても悲しみ、お通夜の席でも泣きながらひいおじいちゃんとの思い出を話していましたがだんだんひいおばあちゃんの悪口に変わっていきました。
「あんなのと結婚してしまって可哀想」だとか、「ひいおじいちゃんはストレスで死んだんじゃないか」とか言いたい放題でした。
でも確かにその話を聞いているとひいおばあちゃんは確かにひいおじいちゃんに厳し過ぎたんだろうなと思いました。
夜の11時頃になり、次の日はお葬式も控えていたので私たち家族は家に帰ることになりました。
そのときに一番ひいおばあちゃんの悪口を言っていた親戚のEおじさんもお酒をかなり飲んでいたので一緒に車に乗せて帰ることになりました。
そのEおじさんは助手席に座っていましたがいきなり後ろに座っていた私や私の弟の方を舌打ちをしながら振り返り
「何すんだこら!」
と怒ってきました。
意味がわからなかったので「何が?」と言うと
「頭叩いただろ!」
と言ってきました。
私たちは酔っ払ってんだなと思って無視していましたが何度か振り返って「やめろ」と言ってきたのでいい加減に運転をしていたお母さんもEおじさんに「うるさい」と怒っていました。
その夜、夢の中にひいおじいちゃんが出てきて私に
「ひいおばあちゃんの悪口を言う奴がいたら怒ってほしい」
と言ってきました。
私は夢の中で「わかった」とだけ返していました。
次の日のお葬式のとき、Eおじさんが私たち兄弟に「昨日は酔っ払っててな、悪かったね」と謝ってきました。
後から聞いた話ですがEおじさんは夢の中でひいおじいちゃんに「Y(私)とT(弟)は何もしてない。あれは俺がやった。おばあちゃんを悪く言うんじゃない」と叱られたそうです。
それから7年経った今年、ひいおばあちゃんが亡くなり、お通夜が開かれました。
その席で私はこのことを思い出し、お通夜に来ていたひいおばあちゃんと子供の頃から仲が良かったというおばあさんにその話をしました。
ここからはそのおばあさんから聞いた話です。
当時高校生で体の弱かったひいおじいちゃんは終戦直後に兄弟全員を亡くしたらしく、あのひいおじいちゃんからは想像もできないくらい何をするにも無気力そうでダメになっていたらしいです。
そんなひいおじいちゃんを救ったのが近所に住んでいてその高校の先輩だったひいおばあちゃんでした。
ひいおばあちゃんはひいおじいちゃんに
「今辛いのはあんただけじゃないんよ。一人生き残った悲しさ寂しさだってもう死んどる人は感じられん。あんただけくよくよしとったら死んでしもうた人等に失礼や」と厳しく言い放ったらしいです。
そんな強いひいおばあちゃんに惹かれ二人は恋人同士になったらしいです。
ひいおばあちゃんはひいおじいちゃんが優しさ故にすぐ弱気になるからいつも厳しくしていたらしいです。
お葬式のとき、私は親族代表としてスピーチをすることになっていた親戚のおじさんにその話をするように頼みました。
最後の最後でもひいおばあちゃんの優しい部分をわかってもらえてよかったです。
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