
長編
目の前で……
匿名 2020年9月14日
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この話は、私が10代の頃の話です(長文です)
夜に知人とドライブをしていました
某港で停車をして海をみていました、車は港の角付近に停車してあって、すぐそこは海がひろがっています。車の中で、知人は運転手にもかかわらず缶ビールを飲んでいて
私は、何だか、話すこともなく、つまんないな・・・なんて思ってました
20分ほど沈黙していて、とにかく海をみていました
真っ暗な海を見ていると、なんだか吸い込まれていきそうな感じに思えていました
ホントにつまらなくなったので、知人に「帰るから家まで送って」と、言いました
知人は無言で、車のエンジンをかけました、そしてライトを点けました
すると
目の前をスーーと車が横切りました
そして、ブレーキも踏まずに コトンと、落ちた・・
落ちた~~~~~???Σ(゚Д゚)ノノ
私「ねぇ・・・今・・海に車が落ちなかった??」
知「・・・うん」
私「あ~~~~~」と言いながら車を急いでおりました
それから、海にかけよってみました
車はプカプカと浮いていました確かに「白い乗用車」でした
私は「早く車から出てくださーい!!」って叫びました
運転席には、男性の後頭部がみえていて、こっちを見ていません
私「早く出て下さ~~い、はやく~~!!」と叫びました
すると、全然こっちのほうを向かずに、その男性は冷静??に、車の窓をしめはじめました・・・車は、まだプカプカ浮いてます
私「は???」
訳もわからずパニックです!
私「K(知人)、およげる??何とかしようよ!!」
知「誰か助けを呼んでくるー!」と言い暗がりの中に走って消えていきました
私は、どうしていいのかわからずパニックしてました
「おりてーおりてー」と叫びながら、気が付いたら自分は防波堤のテトラポットの上におりてました
目の前で、ゆっくりと車が沈んでいきます・・・
私は、もう間に合わない!!飛び込もう!!と思い海に飛び込もうとした瞬間
ガシっ!!
襟首あたりをつかまれました
ふりかえると知人が、私をつかんでました
知「行かないでくれ!」
私「え!ねえ、もうヤバいよ助けてあげてよ、もう沈んじゃうよ」
知「すまん、酔っていて無理だ・・・すまん・・・」
私「じゃあ、私が行く!!はなして!!」
知人は泣き出して、私をつかんで離しません
知「頼む~~行かないでくれ~~許してくれ~~」って泣きじゃくるんです
私も涙があふれてきて
私「だって今いかなきゃもうダメになってしまうよ、はなしてちょうだい!!大丈夫だから!!」
知人は泣きじゃくって絶対に離してくれません
そうしている間・・・・
そう・・・
車は完全に沈んでしまいました・・・
潮がかなりひいていたのか、浅瀬の海に、車が斜めに沈んでしまいました・・
そして、静かに車のライトが消えていきました
私は呆然としていました、ただ、涙だけがあふれてきてとまりませんでした・・・
数分後、消防車が到着しました
私は、パニックになり、駆け出してしまいました
多分、もう嫌だ!誰とも話したくない!!って思ってました
どこを走っているのかは覚えてませんが、全力で泣き叫びながら走り続けました
すると、
後ろから、パトカーが赤色灯をつけてきていて、私のそばでとまりました
警察の方が「M(私)さんですか??」
私「はい・・・」声は完全にふるえてましたね
警「知人さんから伺いました、先ほど港での件なんですが、目撃されてますよね?」
私「・・・何も話したくありません・・・」
警「??大丈夫ですか?」
私「私・・帰りたいんです・・・ぅぇッ... 」
警「かなりショックだったとは思うんですが、落ちた方は亡くなられてしまっていて、状況をしりたいんですよ・・・遺族の方にも報告しないとならないので、ご協力をお願いします!!!」
私「亡くなったんですか・・・すいません、私・・助けてあげられなくて・」
泣きじゃくりましたね
警察は、そんな私をなだめすかして署までつれていきました
それから、さきほどあった事を、おえつをしながら話しました
私「すいません・・・助けてあげられなくて・・・」
警「あのね、Mさん、あなたさっきからそんな事いってますけど、たとえあなたが海に飛び込んだとしても助けるのは無理でしたよ!!」
私「えっ・・・」
警「あなたが助けようしていた男性は、かなり大柄でしたよ、それにあなたは素人ですし、当人が拒んだりしたら、あなたの命まで危険になるところだったんですよ!!飛び込まなくて正解なんですよ!」
よくわからないけど、ずっと泣きじゃくってました
数日は放心状態で、なにしてたのか記憶がありません
後日、亡くなられた方の遺族が、事故の状況捜査を協力してくれたということで、お礼金みたいなのを届けていただきました・・
亡くなられた方が、海に落ちたその日は、その方の父親が亡くなってちょうど1年目の日だったそうです・・・助手席には線香があったそうです
ブレーキ痕もないことから、多分・・・と聞かされました・・・
今思い出しても、悲しくて衝撃的なことです
冥福をお祈りいたします
追申:警察が何度も私に車の色を聞いてました、私はずっと見ていたので間違いなく「白い乗用車」って何度も答えました
でも、警察が言うには、真っ赤な乗用車だったそうで
今、思い出し見ても、真っ白な車だったとしか思えないんです・・・
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