
長編
カズ兄ちゃんとの悲しいお別れ
けいすけ 3日前
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に入るときは…?」
「携帯の電源はオフ!」
このやり取りが恒例だったので。
消し忘れではない。
祖母に折り返し公衆電話から連絡をする母。
「もしもし…お義母さんどうかなさいましたか?…え‼…はい。分かったわ。なるべく早く帰ります。」
…その母のやり取りで何故か嫌な予感がした。
その知らせは悲しい知らせだった。
「栞、落ち着いて聞いてね。悲しいお話だけど、カズ兄ちゃんが亡くなったの。今朝だって…。」
…私の目から涙が出てきた。
胸が苦しくて引きちぎられて…切り裂かれるような痛み。
母は優しく抱き締めてくれた。
母も泣いていた。
「そっか、カズ兄ちゃんは栞達の事が大好きだったんだよ。だから、お別れに来てくれたんだね。」
「悲しいけど、皆何時かはお空に逝くんだよ。でもね、姿は見えないけど栞達の近くにお兄ちゃんはいるからね。」
「あんまり泣いてばかりいると心配するよ。だから、お線香をあげに行ってお兄ちゃんにバイバイしようね。」
…祖父母と父に夢の話をしたらそう言われた。
棺の中に眠るカズ兄ちゃんは綺麗な顔をしていた。
だけど…今思えば、カズ兄ちゃんの首筋には紐状の跡があった。
「カズ兄ちゃんは二度と会えない世界に逝ってしまった。もう、遊べないんだ。」
私はその場で泣いてしまった。
また、胸が張り裂ける苦しい痛みを感じた。
そんな私を優しい撫でてくれる沢山の大人の人達の優しい手の温もり。
カズ兄ちゃんが荼毘にふされる日の朝…遠目で私達は出棺の瞬間を見ていた。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん何処に連れてかれるの?」
「栞、人間は亡くなると火葬場に行って神様の所に逝くんだよ。」
「じゃあ、カズ兄ちゃんともう遊べないの?」
「…。」
姉は…涙を浮かべていた。
その瞬間にカズ兄ちゃんを乗せた霊柩車が三回音を出す。
その瞬間、私達兄妹は泣いてしまった。
「カズ兄ちゃんの馬鹿…。私の可愛い弟や妹を泣かせるような死に方するな‼」
姉は小さく呟いた。
数年が経ち私が中学生の春に姉にこの時の不思議な体験の話をした。
姉が二階の部屋にいると、窓からカズ兄ちゃんが話しかけてきた。
「ごめんね。俺、お前らを泣かすことをしてしまった。ちびどもに伝えてくれ、お前ら皆大好きだったよって。」
「いやいや…泣かすことってさ、兄ちゃん。ここ二階だから危な…ー‼」
姉は気付いてしまった。
二階の窓の外は瓦屋根で人が立つ場所が無いことに。
その瞬間にはカズ兄ちゃ
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- とても感動ですね 泣けるたき