
私の住んでいる街には、長い間誰も住んでいない古びたアパートがあります。外壁は剥がれ落ち、窓はいつも真っ暗です。たまに近くを通ると、時折耳をつんざくような叫び声が聞こえることもあり、近所の人たちはそのアパートを避けるようになっていました。私の娘は、そのアパートの噂を聞いて興味を持っていたようです。
ある冬の夜、娘が塾から帰る途中、そのアパートの窓に明かりが灯っているのを見たと言いました。電気が通っているはずがないのに、娘は確かに見たと話すのです。心配になった私は、夫に娘を任せて一人でアパートを見に行くことにしました。夫は怖がりなので、私を止めようとしましたが、私は意を決して向かいました。
アパートの前に立つと、何度も見慣れた光景が目の前に広がっています。だが、扉は閉ざされ、まるで誰も入れないように見えました。私は懐中電灯を持ち、周囲を照らしながら近づいてみます。しかし、目の前に立っていたはずのアパートは、突然消えてしまったのです。周囲にはただの空き地だけが広がっていました。
急いで帰り、夫に報告しました。驚いた夫は、通勤の際には確かにアパートが存在していたと証言しました。私が見に行ったその数時間の間に、一体何が起こったのか、近所の人たちに尋ねても誰も知りませんでした。ただ、誰もがそのアパートのことを恐れ、語ることを避けているだけでした。
結局、あのアパートはそれ以来、姿を現さないまま消え続けています。どこかに移動したのか、それとも本当に存在しなかったのか、真相は闇の中です。今でも娘は、あのアパートのことを思い出し、時折恐怖に震えています。私たちの街には、語られない秘密が潜んでいるのかもしれません。
その後、私は決してあの場所には近づかないと決めました。何が起こったのか、知りたくもありませんでした。ただ、あのアパートが消えたという事実だけが、私の心に重くのしかかっています。
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