
ある日、私は飼っている白猫のミルクに向かってぼやいていた。「猫って本当に良いよね。いつも寝てばかりで、自由に外を歩き回って…それに、誰にも縛られないのが羨ましいなぁ。」
ミルクは私の言葉を静かに聞いていたが、突然その目が真っ直ぐこちらを見つめ、こう言った。「人間の方がいいよ。僕の体と入れ替わってみる?」
驚いた私は、その言葉を冗談だと思い、笑って返した。「面白そう!やってみようか!」 すると、ミルクが頭を私の膝にぶつけてきた瞬間、目の前が真っ暗になった。
気が付くと、私は猫の姿になっていた。目の前には私の姿をしたミルクが立っている。彼は「ニャー」と可愛く鳴いているが、私は自分の新しい体に戸惑っていた。
私は言葉を発しようとしたが、やはり「ニャー」としか言えない。私になったミルクは、まだ人間としての動きに慣れておらず、四つん這いでフラフラと歩いている。
一方で、私は猫の体で二足歩行を試みるが、どうしても上手くいかず、結局四足で移動する方が楽だと感じる。身体に慣れるには時間がかかりそうだ。
「ニャー、ニャー?」(ミルク、どうやって元に戻るの?)と尋ねてみたが、彼はただ「ニャー」としか返さない。
再び思い出した。猫は一生に一度だけ、人間の言葉を話すと言われている。つまり、もしかして…このまま戻れないのか?
途方に暮れ、私は暗い冬の夜に立ち尽くしていた。周りは静まり返り、ただミルクの「ニャー」という声だけが響く。私は、冷たい雪の上に寝転がりながら、囚われの身となった気持ちを噛みしめていた。 どうやってこの呪いから解放されるのだろうか?それとも、私は永遠にこのままなのだろうか?
この先に待っているのは、恐ろしい運命なのかもしれない。やがて、真っ暗な夜の中で、私はただ不安に震えていた。 何もかもが、私の手の届かない場所にあった。もう、戻れないのだろうか…。 それが、冬の夜の静寂の中に響く私の最後の問いかけだった。
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