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長編

お盆の踏み切りはあの世への入口

けいすけ 2018年1月14日
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このお話は私が19才のお盆の時期に体験した怖い部類の恐怖体験の1つです。 あの日は私と兄と祖母と3人で買い物に行きました。 初めて十万と言う大金を稼ぎ、私はウキウキしていました。 お盆が来るので家には祖父が帰って来ます。 「ねえ、ばあちゃん。祖父ちゃんは大五郎(亡き祖父が大好きだった日本酒)とビールどっちが良いかな?」 「うーん…そうだね。栞が一生懸命稼いだお給料であげてくれるなら何でも喜びそうだから、迷うね。」 「栞、やまやに酒買いに行くからお金寄越しな。」 この時は、兄は酒屋で私と祖母は隣のスーパーで買い物でした。 未成年でお酒は買えず、兄か祖母にお金だけ渡すつもりでした。 しかし…私は兄の優しい一言の裏に隠した魂胆は見抜いていました。 「じいちゃんはビールも好きだけど、多分お兄ちゃんは金麦を買うわね。アサヒ派何だけどね。」 「そうだね。」 そんな会話をしながら、スーパーで買い物を済ませると、兄が待っていました。 案の定…兄が好きなビールを買っていました。 「だって、じいちゃんはビール好きじゃん。」 内心納得がいかない私は心の中で祖父に愚痴を溢していました。 今思えばほのぼのと楽しい買い物でしたが、恐怖の始まりは帰り道の踏み切りを通った時でした。 私は窓を眺めていました。 当時、弟が通っていた高校の目の前に踏み切りがあります。 そこを通る時に踏み切りの真ん中当たりにいるある人物が気になりました。 白髪混じりで髪が長い花柄の服を着たお婆さんでした。 お婆さんの横を通り過ぎるときにお婆さんは顔をあげていました。 表情は青白い顔色でした。 具合でも悪いのかと心配でした。 しかし…。 「お祖母さん?そんな人は居なかったぞ。」 「ずっと前向いていたけど、見えなかった。」 …祖母と兄はお婆さんの姿は見えていませんでした。 多分、気のせいだろうと思うことにしました。 その日に、別の場所に買い物に出て帰宅した両親が何時もとは違う表情でした。 話ずらそうでしたので、深くは聞きませんでした。 只、神妙な顔つきで母は二人の兄に例の踏み切りは通るなと一言伝えていました。 その理由が分かるのはその日の夜に見た怖い夢でした。 私は昼間通った踏み切りに立っていました。 すると、遮断機が降りてきました。 その時に私は両足首を引っ張られて転びました。 身体に痛みが走りました。 痛みだけならまだ良かった。 私の足首をつかんでいるのは昼間見たお婆さん。 瞳がある部分は眼球が無くて空洞でした。 顔色は青白く生気が無くて、腕は痩せ細り骨が見えていました。 不気味に笑うと、私を列車が近付く線路へ引っ張りました。 もがこうにもお婆さんの力は強くて、金縛り状態になりました。 成す術がない。 「一緒に行こう…おいで…」 そう呟くお婆さん。 私は死を覚悟しました。 その時でした。 「うちの可愛い曾孫に手を出すな‼自分の弱さに負けて命を粗末にしたくせに、頑張って生きている孫に手を出すな‼」 曾祖母が怒りの形相で降臨し、お婆さんを投げ飛ばしました。 「家の孫に悪さするやつは許さんぞ‼地獄に落とす‼」 「貴様は自分の弱さに負けて命を粗末にしたくせに…辛くとも挫けず小さな身体で懸命に乗り越える可愛い孫娘を道ずれにするとは…あまつさえ、傷付けるとは。」 曾祖父は怒りの形相でドスを聞かせながらお婆さんの首根っこを掴んでいました。 祖父も怒りの形相で取り囲みます。 「怖かったね。もう大丈夫よ。あの人はお祖父ちゃん達が懲らしめてくれるからね。栞ちゃんはゆっくり寝なさい。」 祖母が優しく笑いかけてくれました。 そこで私は目が覚めました。 恐怖で泣いていました。 心臓が恐怖でドクドクと音をたてます。 時間は夜中の2時半。 私はお手洗いに行き、足首を見ると掴まれた跡がありました。 私は恐怖で布団に潜りました。 夢か現実かわかりませんが、枕の横を見ると曾祖母が優しい笑顔で座っています。 「怖かったね。あの人はお祖父ちゃん達が懲らしめてくれるからね。全く…可愛い孫娘を怖がらせるなんて。可哀想に…足首痛かったね。ばあちゃんが治してあげるからね。一応、お父さんとお母さんに教えなさい。じいちゃんが心配しているから、お仏壇にお線香をあげて元気な姿を見せてあげなさい。貴女の事でお父さんとお母さんに教えてあげたいから。必ず跡はばあちゃんが消すからね。」 …と曾祖母は優しく頭を撫でてくれました。 優しい曾祖母の笑顔で安心した私はいつの間にか寝てしまい、気がつけば朝。 早速、事の顛末を両親に報告。 私の足首の跡を見るなり両親は顔面蒼白…。 「栞は毎朝お線香をあげたり、お菓子をお供えしているからね。助けてくれたんだね。」 「怖かったね。」 その時に両親も同じモノを見ていたことを教えてくれました。 踏み切りに差し掛かるときに、既に姿を見ていたので両親はこの世の人間ではないと気がついたそうで、通り過ぎるときに目を合わせないようにしていました。 すると、お婆さんは身体を滑らせるようにすーっと運転席の父目掛けて寄って来たそうです。 実は、その時に私はあることに気が付きました。 車がお婆さんの横を通り過ぎるときにはお婆さんは移動して私の横にいたのです。 窓の外からジーッと…見られていたみたいでした。 「塩撒け‼で、曾祖母ちゃん達に頼んできなさい‼」 「悪霊退散‼娘に触るんじゃないよ‼」 …母は物凄い力で塩を私の足首に投げつけました。 仏間に行き、線香をあげて手を合わせると…足首の跡は消えました。 「じいちゃん、曾祖母ちゃんと曾祖父ちゃん有り難う。」 呟く私に遺影の中の祖父は笑いかけてくれました。 「生まれつき霊感が強いみたいだし、優しい子だから心配だった。生きている人間でもあの世の輩でも可愛い孫娘に手出しはさせないわ。安心してね。」 「手を出してくる輩に言っておいて。私には怒らせると地獄に落とす怖いご先祖様が沢山いるってな。」 「お母さんとお父さんは心配ないな。栞はやっぱり見えるのか。しかし、霊感も悪いことばかりではないから、付き合い方を上手くしなさい。お母さんの言う事は間違いじゃないからな。」 その日の晩に曾祖父母と祖父が夢の中で助言してくれました。 「人は邪気を宿したり宿すような真似はしてはいけない。生きている人間が一番怖いの。でもね、人間が感じるプラスの感情は何よりの御守りだよ。だから、その御守りが増える生き方をしなさい。栞も後に産まれてくる子達に沢山御守りを渡してあげてね。貴女の霊感は悪いことばかりではないから。」 …曾祖母の言葉の意味を理解したのは去年の事。 長くなりましたが、以上が私が体験した恐怖の心霊体験です。 読んで下さり、有り難うございます。

後日談:

  • 因みに、祖父の好みのビールを買わず自分の好みのビールをゲットした兄は…振っても落としてもいないビールを開けた瞬間に勢い良く噴き出し顔にビールを飲ませていました。 「じいちゃんは大五郎かアサヒ派だ‼」 と…祖父に笑いながら言われたと兄が溢していました。 意外とお茶目な祖父と曾祖父母です。 今でも夢に出てくるこの人達を見て、この人達の孫で幸せだと思いました。

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