
長編
心霊スポットで会った少女
匿名 2020年1月15日
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僕が20の時の話。
僕はある日高校時代につるんでいた友達5人と心霊スポットに行くことにした。
メンバーは、僕、相原、大野、海老名、橘、佐藤の6人だ。
この内の、佐藤と大野は結構のオカルトマニアだった。
相原の車に乗って行くことにした。
ちょうど6人乗りだったので助かったw
運転手は相原。助手席には橘、その後ろに僕と海老名、さらに後ろにオカルトマニアの佐藤と大野という感じで心霊スポットへと向かった。
僕たちが行こうとしていた心霊スポットは、Y県にある人里の離れた廃墟だった。
大野「めっちゃ楽しみ!」
佐藤「それな!」
車内で盛り上がっていたのはこの2人だけである。その他はびびっていた。
海老名「なぁ、お前らこれ見てみろよ」
海老名が佐藤と大野に自分の携帯を渡す。
大野「何々、」
佐藤「この廃墟にはいくつか曰く付きの噂があります?」
海老名「下にスライドしてみろよ」
海老名に言われたどうりに携帯を下にスライドする佐藤。
佐藤「夜な夜なこの廃墟付近で謎の少女をよく見かけます?」
大野「その少女は白いワンピースを着ていた・・・」
橘「それホントかよ?」
佐藤「そんなのこの目で確かめなきゃな。」
橘「おいおいマジかよ。」
大野「どうしたんだよ橘。」
この6人の中でダントツのビビリの橘がめっちゃビビっていた。
橘「いや、その少女に襲われたらどうすんだよ!」
佐藤「大丈夫だって橘。」
大野「相手はどうせ1人だろ。コッチは6人いるんだからさぁ平気に決まってんじゃん。」
と橘を励ましていた(?)
橘も、
橘「まぁ言われてみればそうかも」
と納得していたのだ。
そして、
佐藤「京本(僕の苗字)もひょっとしてびびってんの?」
僕「まぁちょうとな。」
佐藤「大丈夫コッチは6人いるんだから」
(さっきから何だよその理屈。)
男6人でくだらない事を喋り続けていたら、
相原「あれそうじゃねーか?」
と運転をしていた相原がと呟く。
僕たち5人は相原の方に目をやる。
佐藤と大野が、
佐藤・大野「オォ!ついたんじゃねぇの!」
佐藤と大野のテンションがやけに高くなる。
あとの僕と海老名と相原と橘は少しビビリ倒していた。
僕たちは何とか車から降りる事にした。
一列に歩くのではなくバラけて歩くことにしたんだ。その方が怖くないと思っていたんだろうなぁ。
廃墟の中に入る際、橘が、
橘「うわぁ!」
と声をあげた。
相原「どうした橘!」
橘「お、女の子がいた」
と訳の分からない事を叫ぶ橘。
ここから全員がパニックになった。
だが大野は、
大野「橘!お前ビビリすぎて幻覚見えてんじゃねぇの!?」
と橘に声を荒げていた。
当の橘は、
橘「は!?ウソじゃねぇーし!この目で見たんだよ!」
大野「いいから進むぞ!」
大野と佐藤を除く僕たち4人はずっとっていた。
僕たち6人はやっとの事で廃墟の中に入る事にしたんだ。
内装は屋敷?って感じだったんだ。
僕たちは、
僕「めっちゃ怖い。」
相原「幽霊出てきたらどうしよう。」
橘「さっきの女の子一体なんだったんだ?」
海老名「急に出てくんじゃねーぞ。」
大野「さすがにこんな所1人で来たら死にそー。」
佐藤「ちょっとだけちびりそー。」
と口々に話していた。すると、
「ねぇ」
とどこからともなく声が聞こえたんだ。
僕たち全員ビクっとなったはずだ。
怖いのを堪えて僕たちは声のした方へと振り向く。
そこには1人の白いワンピースを着た女の子がいた。
ここで何を思ってたのか人情の厚い相原が女の子に声をかけた。
相原「お嬢さん何でこんな所に1人でいるの?」
少女「だってココ私の屋敷だもの」
と本当かどうか分からない事を言い出す少女に僕たちは言葉を失った。
それもそのはず、急に現れてはこの屋敷の主人と言い出したのだから。
少女はさらに僕たちを唖然させる言葉を発した。
少女「私、実は、死んでるの。」
僕たちは本当に唖然としてしまった。
もう何が何だなんだか分からなかった。
少女「私たちね、強盗に殺されてるの。」
全員「え?」
少女「ある日の事。何気ない日だった。私たちはいつものように屋敷で暮らしていると、突然6人組の強盗が屋敷の中に入ってきたの。」
少女はどこか悲しそうな顔をしていた。
少女「そしてあっという間に私たちは殺されてしまったの。」
かなり酷い話だったので省略させてもらった。本当に可哀想だと思った。
相原「じゃぁ、何でこの屋敷に住み続けてるの?」
ココで相原が口を開いた。
少女「だって、まだこの屋敷に残っていたんだもん。」
確かに彼女は自分が死んでいることに気づいているのだが、やはりこの屋敷に未練があるようだ。
海老名「何でココに居続けていたの?」
少女「実はお母様に、ある手紙を渡したいの。」
橘「君のお母さん?」
少女「えぇ、そうよ」
橘「申し訳ないことを聞くけど君のお母さんはもう亡くなってたりするの?」
僕「おい橘!なんて事聞いてんだよ!」
橘の失礼な言葉にカチンときて僕は怒鳴ってしまった。
橘「何だよ京本、急にキレてよぉ。」
僕「当たり前だろ!見ず知らずの少女の身内が亡くなったなんて普通聞くかよ!」
橘「京本何言ってだよ。俺は申し訳ないないことを聞くけどって先に言ってたんだぜ。」
僕「確かに。言われてみてはそんな気が。」
橘「な。そんなカッカッすんなよ。」
僕は何で急にキレれてしまったんだろう。
少女「私のお母様事で争わないで。大丈夫よ、私のお母様は今も生きてるよ。今はこの屋敷から1時間くらい離れた場所で暮らしているらしの。」
僕「何でそんなこと知ってるの?」
少女「生前3回ほどお母様の家に遊びに言ったことがあるの。」
僕「そうだったのか。」
少女「あと申し訳ないけど、私の代わりにこの手紙をお母様の所に持って行ってくれないかしら?」
僕たちの答えは、
全員「OK。」
だった。
少女「安心して手紙とあともう一枚にお母様の住所を書いた紙があるから。」
と少女はもう一枚の紙を僕に渡した。
少女「あとお母様の名前は、月岡美希子っていうの。」
この少女の母親の名前は月岡美希子さんというようだ。
少女「私の名前は月岡咲。短い間だったけど、あなた達と会えて本当によかった。」
その言葉を聞いた佐藤と大野が涙を流した。
海老名「おいおい。何でお前ら泣いてんだよ。」
佐藤「だってよぉ。お母さんに会えないまま死んでしまうのって辛いと思ってよぉ。」
大野「咲さんも辛い思いしたんだね。」
佐藤と大野の涙に僕ら4人も涙を流しそうになった。
僕「分かった。この手紙は必ず君のお母さんに届けるから君はもう安心して成仏しなよ。」
咲さんは涙を流しながら、
咲「えぇそうねありがとう。幽霊の私にこんなに優しくしてくれたのは貴方達6人だけよ。本当にありがとう。」
そう言って咲さんは光に包まれながら消えていった。
すると僕たち全員泣いていた。
彼女の優しい気持ちが涙を誘ったのだろう。僕らはすぐに月岡美希子さんの家へと向かった。
車を走らせ1時間後、なんとか月岡美希子さんの家に着いた。
本当に立派な家だった。
僕がインターホンを押したんだ。
すると、ドアの中から綺麗な女性が現れた。
僕「月岡美希子さんですか?」
美希子さん「えぇそうよ。あなた達は?」
僕「僕たちはあなたの娘さんが以前暮らしていたお屋敷に肝試しをしにきた者共です。」
美希子さん「立ち話もあれなあんで家で話されませんか?」
僕「はい。失礼させていただきます。」
僕らは美希子さんの家であの出来事を全部話した。
美希子さん「咲が死んでしまったの?」
僕「はい。あなたの娘さんは強盗に殺されてしまったようです。」
美希子さん「咲・・・」
海老名「咲さんからある手紙を貰っているんです。」
美希子さん「え?咲から?」
海老名「はい。咲さんがお母様に伝えたい事があるそうなんですよ。こちらの手紙です。」
海老名が美希子さんに例の手紙を渡す。
海老名「読んでみてください。」
美希子さん「お母様へ。私、お母様に少ししか会えていません。お母様の笑顔、お母様の料理、お母様の笑い声全てもっと聞きたかったなぁ。でも私は強盗に殺されてしまいました。もっとお母様と遊んでいたかったです。お母様、先に死んでしまっでごめんなさい。でも安心して、私は今天国で幸せに暮らしているの。お母様に心配かけないようにあっちの世界でも必死に頑張っています。お母様、私の事なんか忘れてください。だって私はお母様の心の中で生き続けているのですから。お母様の娘で良かった。今まで本当にありがとうございました。 咲より」
美希子さんは泣いていた。僕たちもまた
泣いてしまった。
美希子さん「あなた達本当にありがとうね。あの娘もきっとあっちの世界でも頑張ってるのね。」
僕「いえいえとんでもないです。僕たちはこれで失礼します。」
後日僕たちはまたあの屋敷に行く事にした。そして屋敷の入り口付近で合掌し、
全員「天国で幸せに暮らしてね。」
と一言を残してその場を去った。
今でもこのメンツになるといつものようにこの話をする。
最後まで読んでくれた方本当にありがとうございます。きっと咲さんも天国で楽しそうに暮らしているはずです。
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