
短編
ランドセルの少年
匿名 2日前
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会社の飲み会帰り。
その営業マンは、目標達成できた満足感に溢れていた。久々の美味い酒だったのだ。
「タクシー来ますよ~」
部下の一人が乗るように促すが、彼は断った。
「夜風が気持ちいいから、歩くよ」
家までは近くも遠くもない。夜風を浴びながら、コンクリートの防波堤越しに凪の海面を眺め一服しようとライターを探した。
すると、向こうから誰か来る。月明かりに照らされたのは、小学校低学年の子供だった。
「学校か~、小さい子も大変だ~」
と思ったが…………。時間は深夜2時……。一人……。一気に酔いが覚めていく。
「……何だ、この子は……」
その子供は防波堤に座る彼の前を通り過ぎる。
よく見ると、背中にはランドセルを背負っている。
彼は違和感だらけの状況に混乱した。時間、ランドセル!頭が廻らない……。ゆっくりとこっちに顔を向け始める…。青白い顔、口元には血が滴っている…。それを見て唖然としている彼に、
「おじちゃん、僕が視えてるんだね!嬉しいよ!」
その顔は満面の笑みだった。
そして、暗闇の中に消えていった。
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- 全米が泣いたかりでかお