
長編
謎の多い公衆電話
匿名 3日前
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う。
この道を通るたびに友達が死んでいく。
ポツンとたたずむ公衆電話からの明かりだけがその道を照らす。
周りには何もない。
何もない?
誰も居なかった。
リーん。
あの鈴の音のような、電話ベルの音が闇夜に鳴る。
公衆電話以外のものは暗くて見えないから、自然とその音の発信源に目を奪われる。
怖くて、足が、震える。
かちゃり、きい、と言う音が妙に響き、ボックスの中に入った。
ぱたり、と軽い音を立て扉が閉まった。
目の前で、りーんりーんとうるさくがなる電話。
僕は震える手でその受話器を持ち上げるが、耳につけられない。
ぼそぼそ、と言っている。
「……ぃ………………」
聞きたくない、聞きたくない。
空いたもう片方の手で、携帯電話を取り出し、伊勢に掛けようとする。
くそ、圏外だ、こんな時に!
ボックスから逃げ出そうと扉に手を掛けるが、びくともしない。
さっきはあれほど軽い音を立てたのに今度は壁にでもなったかのように全く動かない。
ぼそぼそ、受話器はずっと繰り返している。
もういいよ、助けて誰か。
バンバンと扉を叩く。
誰か、誰か!
ひた、ひた。
目線の先には足が見える。
とっさに顔を上げるが、顔が見えない。
助けてくれと叫ぼうとした、が、その足、その足は何も履いていなかったのに気付く。
山中を裸足で歩く人などいない。
さらにその白さに、助けを掛ける人間でないことを理解した。
恐怖した。
ぱん……ぱん……ぱん……ぱん……
断続的に叩かれるボックスのガラス。
姿が見えない。
しかし、ぱん、という音がなる瞬間に、暗闇からにゅっと手のひらが現れる。
ぱん……ぱん……ぱん……
力なく窓ガラスを叩くような音。
目の前で鳴ったと思ったら、後ろで叩かれる。
色々な方向からぱん、ぱんと手のひらとともに音が鳴る。
異様に白い足、手。
見えるのはそれだけ、外は真っ暗闇で何も見えない。
ぼそぼそ、と受話器はまだ何かを続けている。
狭い空間でこんなこと、頭がおかしくなりそうだ。
足元の隙間から、妙に指の長い手のひらがすうっと入ってきた。
そして、すうっと引っ込む。
その手がまた入り、引っ込む。
一本、二本、回数を重ねるたびにそれは増える。
僕を探しているのか。
いやだいやだ。
手のひらに触らないように逃げる、避ける。
たくさんたくさんの手。
すうっ、すうっとたくさんの手が足元で現れ消える。
ぼそぼそ言
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chat_bubble コメント(5件)
- すごく面白かったり!ありがとう!太郎
- 凄く怖いかったです。あまり文章が長いからもう少しだけ短い文章をして欲しいと思っています。?
- もう一つは天満屋かな?あ
- マルイ、高島屋、伊勢丹…???このや
- 久しぶりの秀作を読んだタク